ラフ・シモンズが手がけるディオールのクチュールコレクションは、今回で三度目のシーズン。「Femmes de tous les continents (全大陸の女性たち)」というテーマで、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、そしてアジアの4大陸、4つのタイプの現代女性を見つめた、世界一周の旅。
その中のアジアのパートでは、日本の伝統技術である絞りのテキスタイルが使われていました。この見た目はとげとげしているけど、とってもはんなりしたやさしい生地、どこかで見たことがある、とお気づきの方。実はこのブログでも以前紹介した、有松絞りのブランド、SUZUSANのテキスタイルです。
photo:Vogue Japan
SUZUSANとは、ドイツのデュッセルドルフを拠点にしている、名古屋の伝統技術である有松絞りのブランド。伝統工芸の枠を超えた今求められているデザインで世界を魅了し、ヨーロッパを中心とした16カ国、130店舗に卸しています。詳しくは、以前のブログに書いてありますのでぜひそちらも読んでください。
SUZUSANのデザイナー村瀬さんは、ラフ・シモンズ氏がジル・サンダーにいたころから交流があり、彼らがSUZUSANの生地をとっても気に入り、今回のクチュールコレクションで使うことが決定しました。ディオールのテキスタイルのバイヤーも、ショーの中で一番好きなテキスタイルと話していたそう。
写真はショーで使うためのテキスタイルを作る最後の工程で、絞りの糸をほどいてるところ。機械を使わず、これだけの数をひとつひとつ手で絞り、ほどいていくのかと思うと気の遠くなってしまうような手作業の量!モードの最高峰、クチュールコレクションで認められるほどの、日本の職人さんたちの素晴らしい技術です。
村瀬さんは、「日本の地方でのものづくりが衰退していくなかで、とてもうれしい反応」と喜んでました。
これまでSUZUSANは、村瀬さんたちがドイツに在住なこともあり、日本で扱うお店はなかったのですが、ヨーロッパでの取扱店も増えその成果も感じられるようになり、自分たちのスタンスがようやく見えてきた、ということで、ついに日本デビューが決まりました!伊勢丹メンズ館10周年に合わせて、来月からストールの展開が始まります!!1年間は伊勢丹限定販売です。
販売予定のストール。上から順番に、巻き上げ絞り(生地ウールカシミア)、唐松絞り(生地ウール)、帽子絞り(生地カシミアシルク)という、絞りの工程にはちょっとかわいい名前がついてる!
これに合わせて、若い世代にモノ作りの喜びを伝えたい、という村瀬さんは、9月22日、23日には面白いイベントも予定しているとのこと!シャツの受注会も行い、絞ったままでほどいてない状態で店頭に出して、自分の手で最後の工程を体験してもらうことで、『だれが、どこで、どのようにして』作ったものか、服のなかにある絞りのストーリーを感じてもらうのがねらい。
最近まで60~90歳の職人さんたちが主力だった絞りの産地でも、SUZUSANの活躍によって、20代の技術者も増え、活気を取り戻しつつあるそうです。
こうやって、海外でも日本文化や技術が取り上げられるのはすごくうれしいし、それによって、日本でも盛り上がっていくのが感じられてとっても楽しみです!フランスのクチュール界、世界に通用する、日本の技術をぜひ体験してみてください!
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