2012年10月31日水曜日

クロエの60年間の歩みと創造を体験できる、パリのパレ・ド・トーキョーでの初めての展示。『Chloé ATTITUDE』

最近、急に寒くなってきて、10度もない日が続くパリです。コート、マフラーが必要になってきました。
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この間、Nuit Blancheの記事を書きましたが、パレ・ド・トーキョーに行ったときに見つけた、Chloe の展示に行ってきました。夕方から行こうと意気込んで着いてみたら、17時からは、20時から始まるパーティのために入れなくなってしまってました。でも、20時からは無料で誰でも入れるってことだったので、改めて戻ることにしました。
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待ってる間、18時からは近くのシャイヨー宮ではPaul Andre Fortierがダンスパフォーマンスをしてたので、寒かったけど、エッフェル塔を望むちょっと贅沢な広場で観ていました。
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それからふらふらしてから、20時にパレ・ド・トーキョーに戻ってみると、やっぱり列ができてて、ここでも少し待ちながらやっと入ったら、中はすでに人でいっぱい。
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一目散に、Chloe ATTITUDEの展示場所を、目指しました。
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この展示は、メゾン誕生60周年の記念にクロエだけで行う初めての展示。パレ・ド・トーキョーは改装されてから、ファッション・プロジェクトを新しく始め、その最初に招聘されたのがクロエ。
入ってみると、暗がりが厳かな感じで、手前には写真の展示。
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ぽわっと向こう側に服が飾られてるのを見つけたら、どきどきしてきました!
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鉄格子で囲まれた箱のなかには、デザイナーや年代関係なく、それぞれのテーマに沿って展示がされてました。こんなにたくさんの作品を同時に間近に見ることができる機会はほとんどないので、とても貴重!!何回も往復してしまいました。
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床や後ろの背景などもテーマに合わせて、ガラスだったり、タイルや、木、草原などなどいろいろ空間全体がデザインされているので、何十年もの隔たりのある数人のデザイナーで構成されているところもあるのにそれを感じさせないものでした。
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それにアンジェロ・セミナラによるヘアスタイルもすごく楽しかったです。面白い!!
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反対側には、初期の頃からの、その時代のアイコン的なアーカイブ作品が並びます。この展示のために新しく、制作されたものも中にはあります。
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それに、これまで公開されたことのない、当時のデザイン画やコレクションの写真なども見ることができます。
クロエのことももっと知ることができて、もっと好きになる展示です。11月18日までです!!

2012年10月29日月曜日

茶道裏千家大宗匠がパリを訪問!! 茶道デモンストレーションと講演会 「茶の湯ー日本を知る」

先日、茶道裏千家15代家元の千玄室大宗匠がパリ日本文化会館へいらっしゃいました。日本文化会館の15周年記念イベントの一環として、「茶の湯ー日本を知る」というテーマの、大宗匠の講演と茶道のデモンストレーションがありました。私は、最近パリで茶道のお稽古に通い始め、お手伝いさせてもらいました!大学生のときに部活で茶道を始めたのですが、そのときは、大宗匠は雲の上にいるような存在で、まさかこんな間近でお会いできて、しかもお迎えしたときに全員に声をかけていただけるなんて夢にも思いませんでした!!
今年、大宗匠は日本人としては2人目のユネスコ親善大使に任命されました。パリの本部で開催されていたユネスコの世界会議に出席してその足ですぐ、夕方に文化会館へ。文化会館のホールの舞台には、新しい真っ青な畳が敷かれ、お軸が飾られ、お釜が用意されて、普段は飾り気のないホールが、見違えるような華やかさでした!
大宗匠は、終始笑顔で、新しい畳の香りがすると、寝転がりたくなりますね、と、日本の畳の上での生活の 有意義さを説いて、ときどき笑いが起こったりと、楽しいお話をされてました。
イスの生活とは違い、どこでも座れる自由さ、
また、ベッドを置いたらすぐにせまくなってしまうけど、布団はしまったり、 座布団にしてしまえば、1人2畳あれば、生活は十分できる、
など、誰にでも分かりやすく、日本人の生活を紹介されていました。
フランス料理にマナーがあるように、日本にはお茶をいただくマナーがある、というくだりから、「茶の湯」という芸術のお話に入り、デモンストレーションが始まります。今回は、七事式の中の一つ、且座之式(しゃざのしき)という、5人で行うお茶会。且座(しゃざ)は、しばらく座ってお茶を楽しみましょう、という意味。迎える側には2人いて、お客とお話をしたり、 お茶を点てたりする亭主、もう一人はお道具を運んできたりするサポートを担当する半東(はんとう)という役があり、そしてお客は3人いて、それぞれ、お花をいける、お釜にお炭をつぐ、お香をたてるという役割があります。
普段のお稽古では一人で茶道のお点前をすることが多いので、こういったいろんな役割をもって、招く側も、招かれる客も一緒になって協力して作り上げる、まさに「主客一体」の様子に、まだまだ茶道初心者の私には、驚きと発見がいっぱいでした。そして、お香にはずいぶん久しぶりにまた出会いました!大宗匠は、お香は嗅ぐので はなく、聞くのだということを繰り返しお話ししてました。鼻から耳に抜けるような感じで、聞く。鳥のさえずりに耳を傾けるように。デモンストレーションをしている先生方の、聞香の様子は、とっても素敵でした!!大学生の頃に、茶道のお稽古で行った京都で、源氏香という、5つの香木を聞き分ける遊びの体験をしたことがあったのを思い出しました。すごく面白かったので、香道(こうどう)もまた体験してみたいです!!
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お菓子の入っていた花車
毎年世界中を訪問している大宗匠は、今年89歳!ということには、本当に驚きました!!背筋もピンとして、はっきりとした声で、厳格な佇まい。茶道は、健康と長生きの秘訣です!!これからもずっとお元気で、またのパリ訪問を楽しみにしています!!

2012年10月19日金曜日

ミニマルなのに、オリジナル。AISTE NESTEROVAITEの封筒バッグ

少し遅くなってしまったのですが、先月紹介したRuta のショールーム(記事)では、他にもリトアニア出身のアーティストたちが集まって展示、販売をしてました。
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その中でも特に気になったのが、Aiste Nesterovaite革のバッグたち。Rutaの展示してあるところから反対側の壁に飾られていて、デザイナーのAisteもちょうどお店にいたから、少し話を聞いてみました。
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Aisteのバッグは、脇や底に縫い目が全くなく、封筒のように折り畳んで、ただ一カ所、真ん中の留め金の部分だけでとめられているのが面白い。ペンをそのままカバンに放り込んでしまう私は、折るだけだと、やっぱり角にできる隙間が気になりますが、その心配はいりませんでした。わずか数ミリで、針が通れるだけの隙間。
大きさは、大、中、小とあって、もちろんそのまま使ってもすてきだけど、ベルトでいろいろカスタマイズできるのがもっと楽しい!
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3つ全部組み合わせてもいいし、
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上下にしてもいいし。
大きさがしっかり計算されているので、どんな組み合わせしてもぴったり収まる。
デザイナーのAisteは、大と中を背中合わせにして、ベルト1本で2つを合わせて持ってて、それもいいなって思いました。
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ベルトも、封筒バッグも色がたくさんあるから、それぞれ好きな色を、好きなだけ選んでカスタマイズできるし、その日によって気分でも変えることができます。
彼女のバッグは、ミニマルで無駄のない、一見すると無機質な感じがするけど、それは、使う人たちのどんなスタイルにも染まれるようにして、より多くの人に、と考えた結果。Aiste自身、もの静かで控えめだけど、心の強いまっすぐな女の子で、まさにこのバッグだった。
他にも、いろんなことをしていて、バッグ以外にも、正装のためのエプロン作ったり、服をつなぎ合わせるマフラーだったり。実はすでに日本でも取り扱いのお店たくさんありました。ウェブサイトもかっこいいです!!

2012年10月18日木曜日

天と地を行き来する異空間に誘い込まれそうになる。山海塾のフランス公演「あわせ鏡のはざまでーうつし」

先月の田中泯さんに続いてパリ近郊に現れたのは、山海塾
毎年世界中で公演をしている、海外でも評価の高い山海塾。それを率いるのは、天児牛大さん。私は、2007年に行われた、大野一雄 百歳の歳 ガラ公演 「百花繚乱」の舞台で初めて、白塗りではなく、黒のタートルネックに、スラックスで踊る天児さんを観ました。そのときは、舞踏界の大御所数十人が集まったこの先はもう観られないような豪華な公演だったのですが、その中でも、地を感じさせない、数センチ浮いたところに存在しているような天児さんの踊りに私は惹かれました!それ以来いつも気になって、日本のダンス、舞踏の中では、山海塾が一番好きになりました。
公演が始まる前、劇場のバーに見たことあるような人がワインを飲んでいて、よく見たら天児さんでした。思い切って話しかけに行って、異国の地で、よくわからない舞踏好きの変な日本の若者が来たな、と思われてる気がしますが、天児さんはそれでも、やさしい口調で応じてくださって、ほんとにうれしかったです!!小柄で中性的、そして菩薩さまのような佇まい。普段の様子からも、山海塾の雰囲気が漂ってるよう。
日本では、2009年の「金柑少年」、パリでは2010年の春に「から・み」を観て、今回パリ郊外の劇場、Theatre des Bergerieでは「うつし」。

今回の公演も、観客の年齢層は高め。子ども含め、20代まではほとんどいませんでした。フランスの舞踏ファンは、5-60代以上が多いみたいです。劇場は、パリ市内ではなく、郊外行きのRERという電車に乗っていきました。パリ市内から一駅なので遠くはないのですが、降りたところは住宅地で、人もぜんぜん見つからない!劇場は駅から15分くらい歩いたところにある、分かりにくいし少し不便なところ。それでも、街の人たちには愛されているようで、劇場は満員でした!!
まずは4人が登場。空中に浮かぶ土の中で芽を出そうとうごめく種子のようで、裾の丸く広がったスカートは、その芽を支える振り子のよう。観客席までかぶってしまいそうなくらいに、真っ白い粉を空に投げると、舞台は粉の煙に包まれて、浦島太郎みたいに、どこか異次元の空間に誘い込まれてしまうようでした。
山海塾の公演でいつも感じるのは、舞台で踊ってる人たちがリアルすぎて、お化粧ではなく、こういう人間じゃない、人の形をした何かが本当に存在して、こういう空間が作りものではなく、現実にそこにある、という錯覚をおこしてしまう。踊り手や舞台作りが秀逸。汗のしずくまで見える位置で観ていたのだけど、そういった人間臭さを感じさせない、地と天の中間を行き来する、雲に乗れそうな存在。白塗りだから、口を開けたときだけ見せる赤黒い色はブラックホールのように奥が見えなくて、吸い込まれそうになって妖怪のようにも見える。それに、動きは、次の動きに移るときのその間の瞬間が特に美しくて、能に通じるような日本独特の美をとても感じさせる。
こういったのは世界中のどこにも似たようなものは見つけることができなくて、後にも追随を許さないような、唯一無二の存在。そういったところも、海外の人たちからも高く評価されている理由なのかな。
やっぱりすごく面白い!一人で遠出するのはためらっていたのだけど、来て本当によかったです。

2012年10月14日日曜日

きらきらしてるセーヌ川のほとりで、一夜限りのアートイベント。 Nuit Blanche 2012

パリには、真夜中のアートイベントが年に二回あるということは前にも書きましたが(前に書いた記事)、今年もその中の一つ、Nuit Blanche 2012 に行ってきました!!
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毎年開催される、メインの場所はかわるのですが、今年は、セーヌ川沿いに、所狭しとアートスポットが出現しました。東岸から攻めるか西岸から行くか、迷いどころです。
まずは西の方にある、パレ・ド・トーキョーに行って、パンフレットを入手。パラパラと見たけど、写真も少ないので、あんまりよく分からない。だから、とりあえず、まわってみることに。
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歩いて行ける、シャイヨー宮へ。2014年にパリに完成予定のフランク・ゲーリーによる、ルイ・ヴィトン財団の美術館の模型や映像の展示。完成したら絶対行ってみたい!!
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それから、日本人アーティストのナカムラモトミチビデオインスタレーションを見に、パリ日本文化会館へ行きました。去年Gaite LYRIQUEでも展示されていたように、(前に書いた記事)パリで大人気のアーティスト。少し外れたところだったのに、ここにもたくさんの人たち。
かわいいおばけたちが、人間たちを捕まえて、囲んで覗いてる感じが楽しかった!
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そこから、一気に地下鉄で東の端へ。少し寄り道して、ローズ・ベーカリーが出店してる、La maison rougeへ。カボチャのスープで癒されたけど、まだまだお腹すいていて、もの足りない。
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そこから、Les Docksへ。以前にギャルソンの展示で紹介したところです(前に書いた記事)。まだ展示はやってるみたいでした。そこの、大きい広場では、雨がぱらついていたにも関わらず、たくさんの人たちで賑わってました。スクリーンではティルダ・スウィントン主演の、今は改装中のパリ モード美術館で撮影されたKaterina Jebbの短編映画が流れいて、その脇には、DJのブースと、バー。あまりにもお腹空いたので、サンドイッチと、カフェオレで、一休み。
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休憩してからは、セーヌ川沿いをお散歩。暑くもなく、寒くもなく、夜のお散歩に最適なこの時期。冬に移り変わる前の、人は多いのに少しさみしげな空気がいい感じです。
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イベントやってそうなとこを見つけたから、ふらふらと近寄ってみると、面白そうなライブペインティングしてる人たち発見。Teurk&Simon Roubyの二人組。
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 磁気のある液体を流してから、磁石で液体を動かして描いているそれが、とっても不思議で生きてるみたいで面白い。
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ふと、京都で活躍している、タイムペインティングアーティストの仙ちゃん、こと仙石彬人さんのパフォーマンスを思い出しました。彼はインクやオイルなどなどを使って、光を演奏するアーティスト。そしたらなんと仙ちゃんも、この同じ時期に京都で「Nuit Blanche」のイベントをしていたみたい。(でもKyoto Nuit Blancheとは関係なく、独自に行うイベント。)
もう少し、川を歩いてると、光る二階建てのシモーヌ・ド・ボーヴォワール橋を発見。
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この橋は面白くて、途中交差しながら、二重の橋が上下に行き来している。そこでは、これがイベントじゃなかったら、ホームレスみたいに見えてしまうような格好で、ビニール敷いて機材持ち込んで、自由な感じのOIDEMというパリを拠点に活動してるアーティストグループ。橋にかけてる真っ赤な光と音楽のインスタレーション。
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こんな夜に出歩くことは滅多にないけど、たまには楽しい。セーヌ川がこんなにきらきらしてるのも初めて見たかも。また来年を楽しみにしよう。
いつもこういうイベントで思うのは、主催者や取り仕切ってる関係者の人たちの影を感じることがほとんどなく、一応場所は決められてはいるけど、それぞれの場所で、またはそれ以外の場所でも、自然発生的にアーティストとそれを見にやってくる人たちが集まり、お互いがほろ酔いで、少しいい加減な具合がちょうどよく、それがとてもパリらしい。それに、ある一部分の若者だけの内輪的なイベントに終わらないところが、さすがだと思う。
日本でやると真夜中は特に、行政は責任を感じるから規制やらなんやらで、難しいのは当たり前だろうなって思うけど、パリのお役所の人たちがこういうのをひょいとやってしまうのは、街の人たちの、何かあったら自分の責任だっていう暗黙の了解があるのを雰囲気で感じられる。他人に押し付けない代わりに、自由に好きなように遊ぶのが上手な国の人たち。

2012年10月11日木曜日

サスペンダーとプリーツが織りなす花。Damir Doma2013SSコレクション

前回のコレクション(前に書いた記事)に続き、今回もDamir Domaのショーを見に行きました。
前回は、かなり好きなコレクションだったので、とっても楽しみにして出かけました。そして、期待を裏切らない、むしろそれ以上にステキなコレクションでした!
(横からなかなか上手く写真が撮れなかったので、ヴォーグのサイトから写真を拝借してます。)
会場は前回と同じ、パリ国立高等美術学校、エコール・デ・ボザール。前回よりも、見に来ている人が多くなってる気がしました!!
その中でも、特に、気になって仕方がなかったのが、サスペンダーを取り入れたスタイル!!
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左右の腰に、扇を開いたように丸く広がるプリーツは、サスペンダーを茎にして、凛と咲くお花のようで、目を見張るものがありました。
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パンツスタイルだけではなく、スカートもあったり。
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サスペンダーなしのお花も。
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ここでも、帯ベルト発見。
(以前書いた、ラデュレとランバンのコラボの記事帯のベルトのこと書いてます)
デビュー以来、勢いの衰えない、Damir Doma。
パリの新店舗もできたし、これからも楽しみです。