2015年4月30日木曜日

18世紀の宮殿を使用しているフランスの国会議事堂に行ってみよう! l'Assemblée nationale

最近ちょっとした記事を読んで驚いたのですが、フランスの小学校の最高学年のCM2(日本の小学5年生の年齢)のクラスでは、子どもの権利条約の日の11月20日にちなんで、Le Parlement des enfants、“子ども議会”という、民主主義を学ぶプログラムがあるようです。1994年から始まり、今年で20回目となるこの子ども会議というのは、これはどこの学校でも行われているような、ただ教科書で国会の仕組みや法律を学ぶ、というものではないのです。毎年全国から審査で選ばれた577校は、公民の授業時間を使ってクラスで1〜3つの法案を起草し、国会に発議することができるのです。ちなみに577校とういうのは、フランス国民議会の定員が577人からきてます。法案のテーマは毎年あるようですが、子どもの権利であったり、兄弟家族、環境問題、そういった、子どもたちも身の回りのこと。
集められた法案は担当議員や教育省などの審査会で4つに絞られ、その中から参加した全577校が1番よいと思う法案を投票で選出し、表彰されます。でもそれだけでは終わらなくて、選ばれた法案は実際の国会で審議され、これまでの20年間ですでに子ども議会で選ばれた4つの法案が通り、国の法律となっていました。例えば、2000年3月には、子どもたちの提案から、「児童虐待の行為を見つけ、防止するために、学校の役割をより強化する」法律が制定されました。
正直なところ、小学生の頃に子どもの権利なんて考えたことなかったし、国会なんて誰か大人がやってることで自分とは関係ないことだと感じてました。フランスの子どもたちは小学生の頃から政治に興味を持つようになっていくんだと、感心してしまいました。
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この子ども議会を主催しているフランスの議会の一つ、Assemblée nationale (国民議会 )の議事堂見学ツアーに参加してきたときのことを書こうと思います。フランスは独立した二院制で、上院の元老院と、下院の国民議会があります。それぞれに議事堂がありますが、両方とも宮殿を使用してます。
国民議会は、ルイーズ・フランソワーズ・ド・ブルボンの邸宅のために1722年に建てられたブルボン宮殿です。フランス革命によって没収されてしまいますが、ルイ17世が王政復古を果たしブルボン朝が復活し、宮殿は子孫のコンデ公のもとに返ってきます。国民議会へその後売却され、7月革命の起こった1830年代建築家のジュール・ジョリーによって復元されました。
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入り口に予約した時間に集合。自由見学とガイドツアーと両方あります。身分証明書の提出をして、持ち物検査を通過してからついに国会議事堂に入れました!面白かったところを選んでみようと思います。
最初に通されるのがこの、フランスの詩人ジャン・タルデューの詩からインスパイアされた、現代画家のピエール・アレシンスキーの作品で飾られたスペース。意外にも、宮殿の中には20世紀に入ってからは積極的に現代芸術を購入し、いたるところに展示されてます。ここが一番好きな場所です。
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さっきの小さなスペースを過ぎると、宮殿で一番豪華きらきらした場所にたどり着きます。一番上の写真もこの場所です。ここは祝宴が催される場所で、1845年にルネサンスをイメージして作られました。ヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊をもとにしているそうです。大きな窓からは、お庭が広がって眺めもいいです。隣に建てられている、国民議会の議長邸、L'hôtel de Lassayがこの部屋から繋がっています。
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もう使われてないけど、古いエレベーターのある広い廊下もかっこよかったです。二階のプレスルームにつながる階段で、たくさんのジャーナリストたちが集まる人の行き来が一番多い場所。新聞や雑誌、ちょっとしたスナックが買えるキオスクもあります。
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このホールは、議事堂で一番象徴的な場所。フランス革命から続く、宮殿の警備をしているフランス共和国親衛隊の楽隊によるセレモニーが午後の国会審議の前に毎回行われてます。天井画は、当時のオルレアン朝フランス国ルイ・フィリップが、フランスの画家オオラース・ヴェルネに描かせたもので、17年間かけて1830年に完成。平和と繁栄、北アフリカに進出していた、ルイ・フィリップのマニフェストが描かれてるみたいです。
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この部屋は、議員さんたちがインタヴューを受ける場所。テレビなどでもよく流れる部屋。
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中庭は、ブルボン宮殿の建てられた当時を維持しています。右側は、さっき登場した議長の邸宅、L'hôtel de Lassay。一番奥に見えるのは、外務省です。この中庭で、ジャーナリストや議員たちが座って話したりしてるところなんだそうです。
そしてこの真ん中にあるまん丸のモニュメントは、アメリカの芸術家ウォルター・デ・マリアの「La sphère des droits de l’homme(人権の球)」という作品。フランス革命200周年のお祝いに創られたもので、周りには1789年に採択された17条のフランス人権宣言が刻まれてます。
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ドラクロアに描かれた壁にかこまれているこのホールは、シャンデリアやソファなどのインテリアも素敵でした。ここは、左派の議員たちの交流の場なのだそう。ちょっと面白いです。
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そしてついにやってきたのが、国会のメインのドームになってる会議場。日本の国会議事堂の本会議場のようなところ。ここも、建築家のジュール・ド・ジョリーによって19世紀に改装され、この形になりました。
577名の議員の席が下のほうにあって、柱で囲まれてる上の段は観客席です。誰でも議会を見学することができるんです。
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この部屋は個人的にとっても好きな場所でした。コンデ公が宮殿を取り戻したときには、ここはダイニングだったようです。天井はフランス人画家のフランソワ=ジョゼフ·ハイムが描いたもの。
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その後、まだインターネットがない時代はメールも使えなかったので、ここで議員さんたちは手紙を受け取って読んだり、手紙を書いたりする部屋だったそう。この上の写真の、”ピアノ”と呼ばれている郵便受けがそれを物語ってます。議事堂内のネット環境が整ってからはあまり使われなくなってしまったようで、なんだかちょっとさみしいです。
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ここは、議事堂にある、図書館。
前に、『パリの美しすぎる図書館ベスト5! 大学図書館から、修道院、ブルボン宮殿まで』で紹介したので、興味があったらぜひ図書館特集の記事も見てください→ http://www.vogue.co.jp/blog/taco/archives/2861
図書館は議員さんと研究者のみに限られて、一般の人たちは利用することはできませんが、オンラインでデジタルアーカイブを閲覧することは可能。70万の蔵書を誇り、ロベスピエールの憲法の草案や、ジャンヌダルクの裁判の資料なんかもあるみたいで、わくわくしてしまいます。
一通り見てきましたが、宮殿を議事堂として使用してるので、議員さんたちもいなかったし、議事堂に来た気があまりしなくて、歴史的な宮殿を見学してる気分ですごく楽しかったです!今度は、観客席に座って、審議中の白熱した様子も観に行ってみたいです。実は日本の国会議事堂を見学したことがないので、日本のも行ってみて比べてみたいです。
平日と土曜日に、1日数回の見学ツアーが企画されていて、無料で参加することができます。専用ウェブサイトから予約できます。意外と人気で予約がいっぱいなのですが、予約してなくても当日早めに行けば入れてもらえることも。ぜひぜひ素敵な宮殿に遊びに行ってみてください!!

   
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2015年4月24日金曜日

プラダ×ヴッパタール舞踊団、チャラヤン×AyaBambi×ライアン・ヘッフィントン!!ファッションとダンスを融合するプロジェクトMOVEment

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今夜はお仕事が終わってから、パリの北にあるパリ市立アベス劇場へ行ってきました!コンテンポラリーダンスが大好きで、毎月数回劇場に通ってます。
そう言えば、つい先日の東京芸術劇場では、私が一番大好きな振付家アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルが主宰するローザスの『ドラミング』の公演があったようなので、日本にいたら私も観に行きたかったです!!この演目の衣裳を担当しているのが、アンヌと同郷のドリス・ヴァン・ノッテンです。また逆に、マルタン・マルジェラがH&Mとコラボしたときのプレゼンテーションでは、ローザスがダンスを披露していました。ダンサーのためにファッションデザイナーが衣裳をデザインする、または 新作の服の発表にダンサーを起用する、というような、ダンスとファッションは、お互いにその領域を侵食しあって高め、身体を通した芸術としてとっても深い結びつきがあると思います。
ただ、これまではどちらか一方のためにもう片方は支える側の役割を果たしてきたと思います。それをあえて、ショートムービーを撮るという目的のもとに、ファッションとダンスを同じレベルに融合させたAnOtherマガジンがしかけたプロジェクト、MOVEment をネットで見つけたのですが、とっても面白かったです!ここで注目すべきなのは、ダンス作品の記録を目的とした映像ではないってことです。
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=43L754iMmkI]
Prada x Dancers of Tanztheater Wuppertal
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=1jf-rmjGXvY]
Gareth Pugh x Wayne McGregor
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=N2YhzBjiYUg]
Chalayan x AyaBambi and Ryan Heffington
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=SFwrEAU_hAg]
Calvin Klein Collection x Jonah Bokaer and Julie Kent
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=Kj8igpZDPMc]
Iris Van Herpen x Russell Maliphant
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=wGAMfQpHBcE]
Alexander McQueen x Marie Agnès Gillot
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=5sVxDMKi0ek]
Stephen Jones Millinery x Jasmin Vardimon
全部で7つあるけど、上から3つが特にオススメです!
まず一番上の、プラダのデザインした衣裳でピナ・バウシュが創設したヴッパタール舞踊団のダンサーたちが踊る作品。どちらも言わずと知れた大御所。こんな素敵な組み合わせが実現していたことにただ驚きです!ヴッパタール舞踊団の衣裳はいつも、ちょっとぼったりしたスラックスに背広、おばあちゃんのタンスからひっぱりだしてきたような、くったりした味のあるワンピースなど、ひと昔前の古き良き時代を感じるようなものが多かったように思うで、すごく新鮮に感じました。
上から2番目のガレス・ピューと、ウェイン・マグレゴーのコラボレーションは数年前から続いてます。2012年のマグレゴーの作品、『Carbon Life』でガレス・ピューが衣裳を担当し、逆に、ガレス・ピューの2015年春夏コレクションのプレゼンテーションにマグレゴーが振り付けてる!


[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=lDbJXFHcoGM]


それから、ものすごい組み合わせなのが上から3番目!チャラヤンデザインの衣裳を纏ってる、今もっとも勢いのある日本人女性ダンサーデュオのAyaBambiを、注目度ナンバーワンの振付家、ライアン・ヘッフィントンが振り付けた作品。ライアン・ヘッフィントンは、あの12歳の天才ダンサー、マディー・ジーグラーちゃんが踊るPVで話題のSia の『Chandelier』や、シガー・ロスの『Fjögur píanó』などなど多くのPVを手がけてる人。


 [youtube=https://www.youtube.com/watch?v=2vjPBrBU-TM]
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=8i9vEBWnu9I]
私は舞台芸術作品は劇場に行って、ライブで劇場を覆う空気も感じながら観るもの一つの醍醐味だと思いますが、それをも覆し、ライブ感はない編集された映像作品というのもまた違った魅力がありました。それは、コレクションのファッションショーが演劇性を失いつつあって、その場に行かなくてもネット配信されて気軽に見れるようなったり、ランウェイではなくコレクションムービーを発表する流れに似てる気がします。身体を通して繋がっていたはずのファッションとダンスが、映像っていうお鍋の中で料理されて、データになってまったことで身体性が失われていくのも、逆行してるんじゃなくて、ファッション、ダンスというくくりを超えた別次元の世界に連れて行ってくれるんじゃないかなって期待してしまうのです。

   
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2015年4月18日土曜日

パリの “ カワイイ ” ルーツはここにあり! カルナヴァレ美術館

4月も半ばになって、なぜか今週は急に暖かくなって、春も通り越して夏みたいな気候でした!サングラスなしでは目を開けてられないくらい日差しがサンサンとして眩しいくらい。でも来週からはまたぐっと涼しくなってしまうみたいで、二転三転するパリの春に振り回されてます。
パリに来て6年経ちますが、春になると来たばかりの頃を思い出したりして気持ちも引き締まります!最初の年は、とにかくどこへでも出かけてたのですが、最近は同じところばかりぐるぐるしてしまってる感じです。そんな風に過ごしてたときに、まあいつか行けばいっかぁと思って後回しにしてたようなところにふと出かけたら、ひょんなことに素敵な出会いがあったりするのも面白いところ。
たまたま無料だったのでふらっと立ち寄ってみた、古い邸宅が立ち並ぶ歴史の趣きのあるマレ地区にある、カルナヴァレ美術館に意外な発見がありました!
カルナヴァレ美術館こと、パリ市歴史博物館でもあり、彫刻、絵画、版画、写真、などなど、58万点にも及ぶ、パリに関連する資料を有する、パリの歴史を知る上で欠かせない場所であるのは確か。なんでここに今まで来なかったんだろうって思いました。
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入ってみて、まず感じたのが、いわゆる敷居の高い博物館のかたくるっしさが全然なく、とにかくどこの部屋へ入ってもかわいい。パリの“カワイイ”のルーツはここにあったのか!となるほど納得。
壁紙もなんでシマシマなの!展示してあるおもちゃみたいな太鼓、木の兵隊さん、家具からなにまで、パリっぽいって思うものばかりです。
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マレ地区の中でも、歴史の一番古い建物の一つで、16世紀にパリ議会長だったJacques des Lignerisのために作られたルネサンス建築の邸宅。その後いろんな人に渡り様々な変遷がありますが、大きな転換期は皇帝ナポレオン三世のフランス第二帝政時代の知事ジョルジュ・オスマンが指揮したパリ改造。現在まで残るパリの都市景観の礎を築いたこのパリの大改造計画の一環に、これまで教会や市庁舎にばらばらに保管されていたパリの資料や芸術品を集めて保存展示するための歴史博物館を作ることが持ち上がりました。そのために、このカルナヴァレ邸宅を1866年に購入、1871年に博物館を開館しました。
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ルイ15世の時代の王室が美術コレクションを増やしていった頃から、芸術支援を厚くしていたルイ16世の時代、そして、ルーブル美術館が開館したフランス革命の時代から、パリ万国博覧会のベル・エポックの時代までパリの大波乱の黄金期を中心に集められています。当時の室内の調度もたくさん展示されていて素敵でした。
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芸術品がたくさんある、というわけではないので、ルーブル美術館やオルセー美術館にはもう行ったことあるし、何回も来て行くとこない!っていう人や、パリの歴史にも詳しくて骨の髄まで愛してるっていう人にはもってこいの場所だと思います。正直なところ全然期待していなかったので、こんなにかわいいところだのかと、やられた!という感じでした。意外な発見がありますよ。
CARNAVALET MUSEUM
16, rue des Francs-Bourgeois
75003 Paris
10時〜18時 月曜日休館

   
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2015年4月14日火曜日

ロンドン!ヴィヴィアン・ウエストウッド ファッションショー!

年末年始にかけて、表参道ヒルズの地下の、スペース オーでは、
ヴィヴィアン・ウエストウッド シューズ展」 行われてましたが、
私も、年末に帰ったときに、一番に行ってきました。
みなさんも、ヴィヴィアンの靴の魅力にどっぷりはまってしまったはず。
ショーでころんでしまうような、普段では履けない靴たちを作ってしまうのも、
靴が大好きでしょうがないっていうのが、すごく伝わってくる展示でしたよね!
記事をアップするのを忘れてしまって、遅くなってしまったのですが、
ヴィヴィアンのショーにも行ってきたので、報告です!!
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一昔前の、ディスコのような雰囲気の会場。
カラフルなレーザーが会場をつつみ、何十年か前にタイムスリップさせてくれる!
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今回のコレクションのテーマは、ロンドン!
世界が大きく動いた17世紀、イギリスは政治的にも商業的にも地位を得る。
自由を探し、開拓して、世界中にばらまいた、英国。
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photo: VOGUE
学者のガウンをイメージした、真っ黒の四角く覆われたスーツ。
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photo: VOGUE
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photo: VOGUE
 
生地だけで、ロンドンぽいって思ってしまうから不思議。
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photo: VOGUE
ふわっふわのドレスと、とっても高いヒールにママチャリっていう、
なんともアンバランスな組み合わせが、彼女らしい!!
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photo: VOGUE
でも、やっぱり一番輝いてるのは、いつも、ヴィヴィアン本人。
いつまでもとっても魅力的な女性です。
こんなに、かわいく歳をとれたらいいなぁ。

2015年4月7日火曜日

アルベール・エルバス氏がディレクションした、ジャンヌ・ランバンの大回顧展がパリ市モード美術館で開催

先週の日曜日から、ヨーロッパはサマータイムになり、1時間早まりました。日本との時差も7時間。仕事が終わって外に出てみてもお昼みたいに明るくて、なんだか得した気分ですが、まだまだ肌寒いです。コートを着なくてもよくなる日を待ち望みながら、気持ちだけは春のうきうきした軽やかさでいっぱいです。
春先から夏のバカンスまでのパリの街ら、これでもかっていうくらいに、モードであふれた時期になりそうです。パリのあらゆる美術館で面白い展示がなされてるので、ぜひぜひ訪れてみてください。

その中でも見逃せないのは、パリ市モード美術館で行われている、去年125周年!を迎えたメゾン・ランバンの創始者、ジャンヌ・ランバンの偉大な功績を体系的に巡る大回顧展『JEANNE LANVIN』です。


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1980年初頭、アトリエの屋根裏部屋の奥深くで、500体以上ものジャンヌ・ランバンの時代の作品が詰まったトランクが見つかりました。彼女が亡くなった1946年以降、すっかり忘れ去られてしまっていたものでした。それらを保存、アーカイブ化する目的で、メゾン・ランバンの文化遺産部門が発足。(現在は広報部門に集約されてます。)この流れの中、去年ついにメゾン創設125周年を迎え、パリ市モード美術館とメゾン・ランバンとのコラボレーションで、ジャンヌ・ランバンの大回顧展が開催されることになりました。現在も変わらず続いているクチュールメゾンの中でランバンが一番歴史が古いです。
パリ市モード美術館はブログでも何度も紹介していますが、2013年にアズディン・アライア展でリニューアルオープンを迎えて大成功を収め、モードの歴史を主軸にこれまでにも素晴らしい展示で世界中の人たちを魅了し続けている、ファッション好きには人気のスポット。今回の展覧会全体のディレクションは、ランバンのアーティスティック・ディレクターのアルベール・エルバスが担当し、手がける展覧会がいつも評判の高い才能あふれるサイヤール館長自身がキュレーションを担当した最高のコンビ。間違いなく面白いはずだと確信してずっと楽しみに待っていました。

資料としての学術的な要素だけではなく、現在のメゾンに携わっていて、その後の行方の舵を握っているエルバス氏のジャンヌ・ランバンへの称賛とリスペクト、 そして愛のあふれる内容となってました。




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オープニングに駆けつけたのですが、会場はものすごくたくさんの人で溢れかえって大盛況でした!!

19世紀の歴史的な建物に相応しく、きらびやかで、艶やかなドレスやアクセサリーが、博物館のような様相のガラスのショーケースに飾られていました。この空間に入るだけでも至福のひと時でした。


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皆さんよくご存知のランバンのロゴは、お母さんと娘がダンスをしている様子が描かれてるものです。

[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=G0SmqevW3HY]

これは、1924年にジャンヌの娘、マーガリット=マリー・ブランシュがまだ幼かった頃に舞踏会で2人が手をとりあって踊っている様子を撮った写真をもとに、当時売れっ子イラストレーターだった、ポール・イリブがデザインしたものです。1927年には、ジャンヌがマーガリットの30歳のお祝いに作った伝説的なアルページュという香水にも描かれ、現在までブランドのロゴとなっています。エルバス氏も“このロゴには、ブランドの精神が凝縮されている”と語っているように、展覧会も母の娘に対する愛を表現しているブランドの顔でもあるロゴにまつわるエピソードから始まりました。

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[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=WTxl08CmMjE]

というのも、1889年に帽子デザイナーだったジャンヌが初めて自分のブティックを開きますが、娘のために作っていた子ども服が評判となり、1908年に子ども服ラインも展開します。1909年に本格的にレディースの服も始めますが、それに子ども服のほうが先立って始めていました。それに、婦人服を手がけるようになったのも、マーガリットの成長にともなってデザインが変化していったという必然のことだったのです。すべては最愛の娘のため。1911年にはウエディングドレスもデザインしますが、1917年に最初の結婚をする娘のことを見越してたんじゃないかなぁと思いました。
エルバス氏も、2008年からウエディングラインのコレクション・ブランシュ、そして2011年には、子ども服のランバン・プティを次々と展開してます。

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Les-petites-filles-modèles,-1925-©-Katerina-Jebb-(72)

そして、ジュエリーのようなビーズやスパンコールの刺繍されたドレスがキラキラ輝いて、館内が宝石箱のようでしたが、そうしたジャンヌのデザインのインスピレーションの源の秘密が明かされます。

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La-Cavallini,-1925-©-Katerina-Jebb-(72)

メゾン・ランバンの、パリのマドレーヌにあるブティックの3階(日本式に4階)には、当時ジャンヌ・ランバンが過ごしていた、ユージニー・プリンツが内装を手がけた書斎が現在も大切に保存されています。普段は非公開ですが、歴史的建造物の日には、一般に限定公開されたこともありました。
ここには、ジャンヌが旅先で見つけてきたエキゾチックな布や伝統的な生地がガラスケースに入れられていたり、膨大な刺繍のサンプル帳、旅行日記、動物や花の本、顧客に披露したモデルのすべてのデッサンや水彩画が、シーズンごとに素敵な布で装丁されている300ものアルバムに収められています。ジャンヌにインスピレーションを与えていた、これらの刺繍の本やデザイン画実際のドレスと一緒に展示されているので必見です。
125年もの歴史があり、現在までも続いているメゾンで、これだけ素晴らしく保存のよい状態でデザイン画までも残されているのはランバン以外にないんじゃないでしょうか。ジャンヌ亡きあとの後継デザイナー、アントニオ・カスティーヨ、ジュール・フランソワ・クラエ、クロード・モンタナ、そして現在に続くエルバール・エルバスまでものすべてのクリエーションのデザイン画を保存することが伝統となったそうです。

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また、ジャンヌは、ライフスタイル全般に目を向けていた、最初のファッションデザイナーでした。
1920年には、インテリア・デザイナーの、アルマン・アルベール・ラトーとコラボレーションして、ランバン・デコレーションという会社を作ります。ラグジュアリーな家具から壁紙までデザインしたり、パリの2区に今もあるドヌー劇場の内装も二人が手がけています。ランバンのブティックでもその当時のソファーやアームチェアが飾られているのでチェックしてみてください。また、ラトーが内装を手がけたジャンヌの住んでいたアパートの内装をそっくりそのまま装飾美術館に移築されてるので、こちらもぜひ見に行ってみてください。
ジャンヌ・ランバン彼女自身と、歴史と伝統を誇る世界のメゾン・ランバンの魅力にはまってしまうこと間違いなしのこの展示は、8月23日までです。装飾美術館と一緒に観に行くのがオススメ。ブティックを見に行くこともお忘れず。


   
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