2015年7月19日日曜日

占領時代を想起させるデザインで世界のモード界に物議を醸した、イヴ・サンローランの1971 年春夏コレクション展

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© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris
地下鉄の構内のあちこちに、グリーンの背景にシンプルに『イヴ・サン=ローラン 1971』と大きく書かれているだけで、ぱっと見何の広告なのか分からないけどすごく目を引くポスター。よく見ると、ピエール・べルジェ イヴ・サンローラン財団の展覧会のポスターでした。会期ぎりぎりになっちゃったけど、やっと行ってきました。この財団の美術館は、パレ・ド・トーキョーやパリ市立近代美術館、ギメ東洋美術館などが集まるアルマモルソー駅から歩いてすぐにあります。
この財団の美術館では、サンローランに関連した展示が多いのかなと思うけどそれだけでもなく、歌舞伎衣装や写真家の杉本博司の展示もしてたり。前回は、エディ・スリマンの写真展をしてました。なので、イヴ・サンローランの展示は実は久しぶり。それだけに期待も高まります!!
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© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris
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© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris
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© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris
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© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris

サンローランが1971年1月29日に発表した、『Liberation』と題した1971年春夏コレクションに注目した展示内容でした。Liberationは、解放と訳されますが、ここでは1940年のナチス・ドイツによるフランス占領からの解放を意味していています。クリスチャン・ディオールの後継者、クチュールの伝統を引き継ぐ申し子として期待されてたサンローランが、肩パッドで角ばったジャケット、厚底靴、派手なプリント柄、膝丈スカートなどなど、第二次世界大戦の占領時代からインスパイアされたコレクションを発表し、世界中のモード界に大きな衝撃を与えました。まだまだ戦争の痛みの残る時代、占領時代をイメージさせるデザインは、 ジャーナリストたちにはひどい言葉で書かれ散々に批評されるも、当の本人はいたって平然。戦争時代を知らない若い女の子たちが着たいと思ってくれることが大切と語ってました。
どんなコレクションだったのか、映像見つけたので、ぜひ見てみてください→ http://www.ina.fr/video/CAF90018593 
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© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris
入り口では、その当時にファッションショーの招待客に配られた、番号と服の説明が記されたプログラムを再現したものを受け取り、招待客になった気分で展示室に入りました。
壁一面には、全90体のモデルのデザイン画が大きく引き延ばされて貼られ、そのすぐ前には、ショーで発表された実際の作品も展示され、靴やアクセサリーに至るまで、コレクションの全貌をみることができます。また、ファッションショーで撮影されたビジュアルや広告のポスター、そして、どれだけ批判を浴びていたのかが分かる、このコレクションに関する雑誌や新聞に載った記事など、財団の保存するアーカイブがたくさん公開されてます。
また、デザイン画だけではなくて、《Bible》と呼ばれていた、アトリエで使用される重要な書類で、デザイン画とそれを担当するモデリストの名前、テキスタイルのサンプル、付属品やディテールなどが書き込まれたものが、すべて画像データとして見ることができました。アトリエでどのように進めてるのか想像することができて、すごく面白かったです。サンローランのデザイン画は何度か見たことがあったのですが、このBibleは初めてでした。現在でもほとんどアトリエでの進め方とほとんど変わってないんだなぁと、感慨深く思ったりもしました。
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© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris
13_Manteau_de_renard_vert_Sophie_Carre
© Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent, Paris 

そしてこの展示は、パリの美術館のモード関連の展覧会の多くを手がけていて、私も大ファンになってしまったオリビエ・サイヤール氏がこの展示のディレクションを担当。サイヤール氏の魔法にかかった展覧会に間違いはないです。
[youtube=https://www.youtube.com/watch?v=aUkGFwh6UBw]


   
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