2013年7月21日日曜日

50年代ロックにエレガンスを纏う サンローラン 2014SSパリメンズコレクション

前回と同じように、今回もパリメンズコレクションの最後を飾るのは、サンローラン!
夏のパリは夜もずっと明るくてお昼みたいですけど、もう夜の8時すぎです。
P6300677
P6300678
入ると、中はピンク色の世界。ここからどうなってくんだろうって思ったら、一転、急にすっかり真っ暗になってから
P6300684
野外ライブのようなギラギラのライトがぐんぐんのびてきて、ランウェイを囲んで明るくなってきたなぁと周りのみんながそわそわしだしたところで、スタート!
00350h
00060h
前回のコレクションからの続きを見ているかのようだけど、オープンカラーやバンダナなど、前回よりも、もっともっと強烈な、50年代のアメリカ、ロックのイメージ。
00030h
00050h
photo : Vogue Japan
ボーダースタイルは、まるでロカビリーのthe King、エルヴィス・プレスリー主演の映画「Jailhouse Rock(監獄ロック)」の中に登場するヴィンス!!ライトに照らされギンギラに輝く裾の長いジャケットも、何回か登場して、それもなんだかエルヴィスを彷彿させる!!
00120h
00130h
00390h
photo : Vogue Japan
今シーズンは、ずっと大人っぽくエレガントな気がしました。パンツはやっぱりスーパースキニーだけどずっと深くて、シャツの裾は飛び出ることなく、全部しっかりパンツイン。‘かなりハイウエストだから、よけいにジャケットが長く見える。前回ほとんど誰も手を入れてなかったポケットは、手がすっぽり入るくらいゆとりがあって、少し上のほうにあるからちょっと前のめりな感じが、なんかかわいい。
昨シーズン、華々しくカムバックした、エディ・スリマン氏。ますます勢いに乗ってきて、来シーズンも楽しみに待ってます!!

2013年7月17日水曜日

繊細な兵隊ドールの行進  トム・ブラウン ニューヨーク2014SSパリメンズコレクション

暑さでじりじりする日照りの中で、トム・ブラウンの会場となった場所は、普段は入ることのできない軍仕官学校、Ecole Militaire 。そこから導かれたのは、カラッと真っ青な空と同じ色の荘厳な門の中の広場。
P6300175
柱の間には、謎の鏡貼りの箱が二つ置かれていて、何が起こるんだろうって、期待でいっぱいの中で始まったショーは、まるで人形の軍隊の行進。軍士官学校に足を踏み入れたところからすでに、トム・ブラウンの軍のユニフォームのコレクションショーは始まってた。
P6300547

P6300596
P6300662
P6300653
こんなに暑いのに、真っ白く血の気がない肌に、真っ赤なリップ、それに鏡の板の上に立ち、横一列にずらっとならんで、全く動かず自分の決まった位置に収まっていた様子は、ずっと大切にコレクションしてきた人形たちを丁寧に並べて飾ってるみたいで、この耽美的なまでも異様な雰囲気は少し怖い感じも。
P6300623
鏡の大きな箱は開けると、お城の入り口の脇にある警備する兵隊の小さな部屋で、ぴったりにはまっていて、パッケージングされてるみたいでした。彼ら二人は行進のショーの行く末を見守ってた。

P6300646
P6300661
ミリタリーコレクションとは言っても、土っぽい勇ましさはなく、どちらかというと若いエリート将校たち(よく映画や小説でも描かれるように、彼らは中性的な美しさも併せ持ってる)のイメージ。
それに、トム・ブラウン氏は、童話「みどりのゆび」のチト、なんじゃないかなって思いました。
植物を生みだせる親指を持ったチトが、武器に花を咲かせて戦場を植物でいっぱいにし、戦争をなくしていったように、このコレクションでは、威厳と機能性の軍のユニフォームの中に、それとは真逆の繊細でガーリーなディティールを咲かせてる。
もうすっかりドレスのように、裾がふんわり膨らんでるコートだったり。
P6300663
P6300643
チュチュの上から、パンツを履いたから、脇のボタンもはずれて、中からチュールが溢れ出してしまってるよう。
P6300641
それと同じように、レースのペチコートが裾からのぞいてる!
P6300652
満面の笑みで応える、トム・ブラウン氏!
P6300589
最後は、まるでシンデレラのガラスの靴のように、ヒールのあるブーツを恭しく運んでました。

2013年7月12日金曜日

ピンクの森で出会う、カラフルなキノコ! ポール・スミス 2014SSパリメンズコレクション

これまで涼しかったパリがうそのように、すっかり晴れて日差しも強い、夏到来の昼下がりの日曜日。去年と同じ、高校の校舎の中庭で行われたショウは、ポール・スミス。去年の会場内は、さわやかなグリーン一色だったのが、今年はピンクで覆われてました!!
P6300139
P6300160
後で写真を見たら、全部ピンクっぽくなってしまっていたくらい、会場全体もピンクの陽気につつまれてた。

P6300097
P6300037

P6300046
P6300042
P6300103

そういえば、前回のミハラヤスヒロの記事では青のことを書いたけど、ポール・スミスの今年のコレクションは、半分くらいがピンクの色遊び。暑さで溶けて消えちゃいそうなのや、主張してるとがったピンク、おいしそうな和菓子のやさしいピンク、それに、アメリカンチェリーみたいなのまで、広がりがある。
P6300062
P6300132
P6300130

P6300075
そのピンクの森に生えるのは、カラフルで大きさもいろんなキノコたち!プリント、刺繍に、ジャカード織りと、キノコの表現もさまざまで面白い!!少し、サイケデリックなヴィンテージ感があったり、メルヘンチックでかわいいんだけど、グリム童話みたいな秘められた裏側を探ってしまう好奇心もそそられてわくわくします!

P6300151
最後はいつもお決まり、モデルたちとランウェイをぐるっと。ポール・スミス氏の颯爽と歩く姿は、やっぱり誰よりもかっこいい!
P6300164
待ってる間のお庭では、ポール・スミスクッキーいただきました!クッキーにキノコ、そして青空の下には、緑と白とお花。どこまでもメルヘン。
P6300001
熱気で蒸された会場で、汗だくになって脳みそとろけそうになりながらも、かわいくもあやうい雰囲気で、でも不思議と気持ちは穏やかにしてくれる、ピンク色の持つ独特な力を感じられました。

2013年7月10日水曜日

天然染料スクモによる無限のインディゴ ミハラヤスヒロ 2014SSパリメンズコレクション

夏っぽい香りがしてきた夕暮れどき、フランス国立の美術学校、ボザールの素敵な中庭の廊下で行われたのは、MIHARAYASUHIROのショー。17世紀に創られたこの場所、柱の間には彫刻が飾られ、天井や壁はところどころほころびて、300年以上もの長い間にたくさんの芸術家たちが歩いていたんだろうなって想像してしまう。
P6290080
P6290271
今回のコレクションのテーマは、『不死鳥』。いつまでも人間を見守って、素晴らしい世界を作っていくことを願う、手塚治虫のマンガの『火の鳥』からインスパイアされたもの。地震後の福島の現状を憂い、未来への祈りをこめたコレクション。
P6290119
P6290095
不死鳥の羽をモチーフにした柄。しっとりした髪にのせられた金箔も、羽のよう。
P6290054
P6290046
カモフラージュに見える、ボタニカル。遠目で見ればカモフラージュだけど、実はとっても着物っぽくて繊細な柄。
P6290039
P6290031
コレクションのほとんどを占めていたのが、「SUKUMO(蒅)」という天然の染料を使った日本の伝統的な方法で藍染めされたもの。
P6290010
P6290013
その中で、一番目を惹いたのは、SUKUMO LEATHERのジャケット。艶やかで、水面のきらきらした透明感から、吸い込まれそうなくらいの深い夜の色合いまで、職人たちの技が光る。
インドやドイツの合成染料の輸入で、この刈り入れから100日もかかる天然の蒅(スクモ)の生産は現在ほとんど行われなくなり、この蒅を作る職人の藍師は全国にたった5人しかいない、というのには驚きました。それに、藍染めは繊維を染めるのではなく、固着させているというのは面白い。繊維を壊さずコーティングして丈夫にし、何度も何度も重ねて付けると濃い青になっていく。染める素材の違いや、重ねる回数の違いで、空の青、海の青というように、一口で青とは言えない、いろんなインディゴの表情を見せてくれました。冷え性に効果あったり、防虫、抗菌、抗酸化、天然の藍染っていいことづくめ。インディゴと革が合わさって、使っていくうちにもっと風合いも深みも増していくんだろうなって、この会場の歴史の中で、時間の経過を感じたショーでした。

2013年7月9日火曜日

カラーのリズムでストリートスタイル ジョン・ガリアーノ 2014SSパリメンズコレクション 

パリメンズコレクションシーズンがあっという間にすぎてしまいました。 シーズン中の週末は、この夏一番暑いんじゃないかってくらいの快晴で、暑い中一日中外を歩いていたので、夜にはくたくたでした。最近になって、30度近くの日々も続き、ようやく夏っぽくなってきました。
見に行くことができたコレクションのレポートを続けていきたいと思います。まずは、ジョン・ガリアーノ
会場はチュイルリー公園にあるオランジュリー美術館のすぐとなりにあるイベントスペース、L'Orangerie Ephemere
P6280151
P6280160
P6280174
アシッドイエロー、エレクトリックブルー、ヴィヴィッドコーラル、夏っぽいこれらのカラーたちは、もう19時過ぎだったのに、外は昼間みたいに明るいから、開放感のあるガラス窓から望む公園の緑によく映えて、とってもまぶしかった。
P6280178
P6280185
後から続くのは、ジャカードのグレーと、ドットのブラック。
0010h

0200h


0290h
ボーイッシュ・スポーツウェアと、グラフィック・テーラリングのごちゃまぜ、がテーマの今回のコレクション。トップスはオーバーサイズで、それにちょっと短めスリムパンツに、前と後ろで色が違うバイカラーのキャップで、ストリートスタイル。
0040h
0060h
0220h
0080h
ジャケットはポケットの袋布が表に出てたり、裏地の仕立てを表に出したデザインや、パンツの裏地が裾から出てたり、急いでて表裏を間違えて着てきちゃった!って感じ。
ポケットは取り外しできたりシャツより大きかったり、ジャケットやトップスが裾が短くてインナーが出たり、 一人ひとりを分けてみるより、全体で見ると、カラーのリズムが面白いショーでした。