2013年7月10日水曜日

天然染料スクモによる無限のインディゴ ミハラヤスヒロ 2014SSパリメンズコレクション

夏っぽい香りがしてきた夕暮れどき、フランス国立の美術学校、ボザールの素敵な中庭の廊下で行われたのは、MIHARAYASUHIROのショー。17世紀に創られたこの場所、柱の間には彫刻が飾られ、天井や壁はところどころほころびて、300年以上もの長い間にたくさんの芸術家たちが歩いていたんだろうなって想像してしまう。
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今回のコレクションのテーマは、『不死鳥』。いつまでも人間を見守って、素晴らしい世界を作っていくことを願う、手塚治虫のマンガの『火の鳥』からインスパイアされたもの。地震後の福島の現状を憂い、未来への祈りをこめたコレクション。
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不死鳥の羽をモチーフにした柄。しっとりした髪にのせられた金箔も、羽のよう。
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カモフラージュに見える、ボタニカル。遠目で見ればカモフラージュだけど、実はとっても着物っぽくて繊細な柄。
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コレクションのほとんどを占めていたのが、「SUKUMO(蒅)」という天然の染料を使った日本の伝統的な方法で藍染めされたもの。
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その中で、一番目を惹いたのは、SUKUMO LEATHERのジャケット。艶やかで、水面のきらきらした透明感から、吸い込まれそうなくらいの深い夜の色合いまで、職人たちの技が光る。
インドやドイツの合成染料の輸入で、この刈り入れから100日もかかる天然の蒅(スクモ)の生産は現在ほとんど行われなくなり、この蒅を作る職人の藍師は全国にたった5人しかいない、というのには驚きました。それに、藍染めは繊維を染めるのではなく、固着させているというのは面白い。繊維を壊さずコーティングして丈夫にし、何度も何度も重ねて付けると濃い青になっていく。染める素材の違いや、重ねる回数の違いで、空の青、海の青というように、一口で青とは言えない、いろんなインディゴの表情を見せてくれました。冷え性に効果あったり、防虫、抗菌、抗酸化、天然の藍染っていいことづくめ。インディゴと革が合わさって、使っていくうちにもっと風合いも深みも増していくんだろうなって、この会場の歴史の中で、時間の経過を感じたショーでした。

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