2015年2月25日水曜日

パリのフォルネイ図書館で、インディゴブルーの時空を超えた世界一周の旅。

2月後半にもなると、さすがのパリでも凍えるような寒さは通り過ぎて、すっかり空が晴れると春の暖かさが香ってくる気候になってきました。3月末から始まるサマータイムに向かっている、この冬から春に変わる時期は、わくわくそわそわします。
年始から2月までは忙しかったのですが、仕事の合間に茶道のお稽古に励んだり、図書館行ったりギャラリーめぐりに連れて行ってもらったりといった週末を過ごしてます。
美術館があることは知ってたのですが、あまり情報がなく、これまでは入りづらかったので通りすぎてしまっていました。そんなときに、面白い展示をやってるよ!って誘ってくれたので、初めて足を踏み入れることができました。『INDIGO, UN PÉRIPLE BLEU』と題した、インディゴブルーの世界の変遷をめぐる展示でした。それがとってもとっても素敵な内容だったので紹介します。
3.-Mains-Koo
ジーンズに代表されるインディゴブルーは、日本では藍色と呼ばれますが、インディゴ染めは、日本から中国、インド、中央アジア、東欧、そしてアフリカを通って中央アメリカまで地球をぐるっと一周して4000年も前から行われている、とても歴史の長い染色方法の一つです。そういったインディゴ染めが行われている世界中の地域から、300点以上もの衣装やアクセサリーが集められ地域ごとに展示されていました。
8.-Veste-patch-Zuong-Chine
6.-Manteau-turkmenistan
天然のインディゴ染めの染料となるものは、様々な植物から採取できるようですが、主に熱帯地域で栽培される、コマツナギ属のindigoferaという植物が使用されます。日本では12世紀ごろから藍染として親しまれ、中国大陸からもたらされた、ダテ科の藍という植物を醗酵させて、すくも、という原料を作ってます。
もっとも、現在では、質の良い高級な天然のインディゴは、インドでごく少数だけ栽培されるのみ。ジーンズを含め、インディゴ染めと呼ばれるもののほとんどは、1882年にドイツの化学者によって発明された合成染料で行われています。日本の場合、すくもを使った天然のものを「藍染」、合成染料を使ったものを、「インディゴ染め」といった具合に区別されてます。
四国が藍の有名な産地ですが、絣(かすり)、絞り、刺し子、筒描き(つつがき)、といった日本のあらゆる地域の藍染を使った伝統技術が紹介されていました。絣の着物の周りにはマダムたちがたくさん集まっていて、美しいって呟いてうっとりして見つめてました。着物だけではなくて、江戸時代の当時の消防士である火消の頭巾や羽織なども展示されていてました。江戸時代の町人の旅人姿、旅がらすのマントもかっこよかったです。
7.-Jupe-Bleue9.-Robe-slovaque
それから、中国の少数民族のミャオ族の女性たちに伝承されるプリーツのスカートが本当に素晴らしかったです。夜空の黒に近いとても深い青から、からっと晴れた光り輝く眩しい空色まで、グラデーションにこれだけ幅があるのにも驚きました。技術はもちろんのこと、古くから伝わるものなのなに、とてもモダンなデザインでカラフルな刺繍もかわいらしかったです。面白いのが、この細かいプリーツのスカートは、遠く離れた50年前の東欧のハンガリーで似たようなスカートを見ることができるのだそう。彼女たちは自分たちの使う分を自分たちでお家の近くで栽培し、収穫して 染料を保存していたようです。そのほかにも、グアテマラのインディアンのカラフルな刺繍は、スロバキアのエプロンに同じような技術をみてとれます。年代も違い、人の往来のなかったであろう離れた地域の民族が、共通した技術を有していたのには驚きます。
4.-Pile-tissus-divers
でも、現在では、都市へ人が流出してしまい、日本だけではなく世界中で、技術の伝承が危機に瀕している状況です。アフリカでは政治情勢や紛争のために職人たちが仕事ができなくなってしまってることも問題となっています。
このようなことから、世界各地の天然のインディゴ染めを、ユネスコの無形文化遺産への登録を目指して活動していて、その一環として今回この展示が行われました。
4000年の歴史のある現在でもその不思議な美しさで人々を魅了し続けるインディゴの青い糸を手繰り寄せながら、世界中を時空を超えた旅をしてしまったような気分でした。
4月18日までです。
展覧会情報は、パリ市図書館のサイトへ→http://www.paris-bibliotheques.org/expositions/indigo/
Bibliothèque Forney 1 rue du Figuier, Paris 4e
おしゃれにシンプルにリニューアルされた、パリ市のイベント情報サイトもぜひ→http://quefaire.paris.fr/fiche/102475_indigo

   
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