2013年3月27日水曜日

フランスのストリートアートの大コレクター、Alain Dominique Galizia氏のアトリエで、大山エンリコイサムのレセプション

去年、コム・デ・ギャルソンにアートワークを提供したという記事で紹介した、大山エンリコイサムさんが、パリのコレクターに招待されて作品を制作しているということだったので、アトリエを開放しているレセプションに遊びにいってきました!!
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場所は、コレクターである建築家のAlain Dominique Galizia氏のアトリエ。もともとは建築事務所だったところ。一階には、Alainさんのコレクションしているストリートアートの作品が所狭しと飾られていました。私はあんまり詳しくないので、分からなかったのですが、かなり有名なアーティストの作品も結構あるみたいでした。
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グラフィティって、壁だったり塀や、車や電車など、私にとっては屋外のイメージが強いから、部屋の中にいるはずなのに、なんだかトンネルの中とか、ここだけ外にいる感じかしてくるのが面白かった。どこからか電車の音とか車のクラクションが聞こえてきそうな雰囲気が楽しい!!
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Alainさんは、とっても陽気な人。じっとしてないでずっと動きっぱなしで、すごくアクティブ。
図録にサインしてプレゼントしてくれました!この図録は、2011年にモナコで行われたAlainさんのコレクションの展覧会「L'ART DU GRAFFITI」のもの。2009年には、グラン・パレで「TAG」を、2010年にはパレ・ド・トーキョーでも展覧会を行っているという、フランスのストリートアートの大コレクター。
図録と一緒にプレゼントしてくれた数冊のアート雑誌には、Alainさんのインタビューや彼の書いた記事がたくさん載っていたのですが、建築家のAlainさんがストリートアートやグラフィティに興味を持ったきっかけを語っていました。
「私は建築家なので、ストリートアーティストでもある。 
中略
グラフィティにすっかり覆われてしまっていた荒れ地の壁や塀は、まさに建造物の破壊だった。それと同時に、ある目に飛び込んでくるようなモチーフがあって、それに応えるようにして、大きく、より豪華に描かれたものがあったことに、すぐに気づいた。まるでそれは、挑発、アートの決闘のようだった。」
建造物を作る仕事の建築家が、アートによって破壊される建造物を見た衝撃から興味を抱いたのかなと思うと面白かったです。
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二階は、ストリートアーティストたちの作業場になっていました。 Alainさんは、世界中からアーティストをこの場所に招いて、どのアーティストたちにも、60cm×180cmの大きさのキャンバス二枚を使って、自分のサインと、愛というテーマでそれぞれ作品を描いてもらっています。このたて長の形は、地下鉄を思わせる形ってのも面白い。すでに
100以上の様々な国のアーティストたちの作品がコレクションされているみたいです!!
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この二枚がここで大山さんの制作していた作品。アジアのアーティストのコレクションをもっと増やしたいと探していたところ、知人の紹介で大山さんと出会い、パリに招いた。Alain さんの新しいコレクションになります。
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作品に興味を持って、作品集を見ながら熱心に話を聞いてるお客さんたち。
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道具置き場から、階段、そしてトイレまで、壁が分からないくらいにグラフィティでびっしり。何十年も前から、百人を超えるアーティストたちがここへや次々とやってきて描いていたのかなって、想像してしまいます。アトリエ全体が、アーティストたちのキャンバスになっていて、この場所自体がアート作品になっているような場所でした。

アトリエの内部が映像でも見ることができるので、ぜひ!!
それから大山さんはパリを旅立った後すぐ、ベルリンへ。ニューヨークの友人の紹介で、ベルリンのストリートアーティストから頼まれて、シェアハウスの壁画も制作してました。
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たった三日間で、これだけ大きなものを作り上げてしまったのにも驚きです。
今はニューヨークに住んでいる大山さんですが、これからもっと世界中のいたるところで作品が見ることができるようになっていきそうで、すごく楽しみです!!
Alainさんのアトリエの中は室内なのにグラフィティに埋め尽くされて屋外の雰囲気がするのが楽しかったのですが、屋外で描かれて誰にでも見ることができるのも、これぞ本場な感じでやっぱりいいなって思いました。ストリートアートって次々にいろんな人たちに描き加えられ続けて、永久に完成しないようで、プロセスやコミュニケーションなのが面白い。グラフィティ描いてる人たちってちょっと近寄りがたいイメージが前はあったんだけど、ストリートアートやグラフィティについてもっと知りたくなってきたので、今回Alainさんにもらった雑誌をもっと読み込んでみます!!

2013年3月22日金曜日

並ぶ店先の看板がかわいい!パリ、サン・ラザール駅のすてきな楽器屋さん通り、Rome通り

東京にも、御茶ノ水にはたくさんの楽器屋さんが集まった楽器店街がありますが、パリにも楽器屋さん通りがありました!
というのも、たまたまその日の気分で、サン・ラザール駅のあたりをふらふら歩いてたら見つけたRome通り。ここの近くには昔、パリ国立音楽院があったらしく、たくさんの楽器屋さんが集まりました。今は、Cite de la musiqueもある、ラ・ヴィレット公園の中にあります。この通りの両側のあちこちに楽器屋さんと楽譜屋さんがありました。
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老舗のお店も多く、外観もすてきなお店がいっぱい!
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もちろん、楽譜屋さんも。
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楽器の修理屋さんもあり、作業してました。
ヨーロッパでヴァイオリン修理ときたら、耳をすませば。あの彼も若くして光る才能を異国の地で発揮させてるかなーなんて思ってぷらぷら散歩しました。
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規則正しくきれいに、たくさん並べられたツヤツヤなバイオリンは、眺めてるだけでも楽しくなります!すてきな音楽の風が吹いてきそうなRome通り。音楽好きな方はぜひ行ってみてください。 

2013年3月19日火曜日

世界中のバイヤーたちが注目する、日本の伝統技術の有松絞りのブランド SUZUSAN

日本の素晴らしい伝統工芸の技術が、後継者不足や海外の安い工賃のために流出してしまって、どんどんと失われていくことが問題になってしまってる今、ヨーロッパに活路を見出した面白いブランドに出会いました!

ドイツのデュッセルドルフで名古屋の伝統工芸品である有松絞りを使ったデザインで様々な新しい試みをしているSUZUSANドイツやスイスを中心としてヨーロッパ各地のショップに商品を卸していて、そしてパリではリュクスなメゾンのものをたくさんおいてある高級ブティックL'ECLAIREURもSUZUSANの有松絞りのスカーフを扱っています!スカーフ以外にも、生地もたくさん手がけていて、世界中の一流メゾンに提供しています。
SUZUSANのデザイナー村瀬さんは、1982年名古屋生まれ。20歳でドイツへ渡り、デュッセルドルフの美術アカデミーでファインアートと建築を学ぶ。在学中の2008年、ドイツ人のビジネスパートナーのクリスチャンさんと共に会社を立ち上げ、卒業後もデュッセルドルフと名古屋でSUZUSAN活動をしています。
一番初めに会ったのは、今年1月末のパリで売り込みをして来た帰りのカフェ。サンプルをいっぱい詰め込んだ大きなスーツケース片手に、「本物の行商だよ」って言っていたのが印象的でした。
そして、先日のファッションウィーク中に行われていた、パリの合同展示会TRANOIで展示しているところに訪ねていって、絞りのスカーフやブランケットを見に行ってきました。
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世界中のバイヤーたちが注目してる!!
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村瀬さんとクリスチャンさん

両親が有松絞りの仕事をしていた名古屋の実家では、布が家のそこらじゅうにあり、絞りに囲まれて育ち、絞りは当たり前にありすぎて、ドイツの美術学校ではもっとアートよりの作品をたくさん作っていたそうです。在学中、あるギャラリストの人に絞りを見せる機会があって、そのときに彼がとても驚いて感動していた様子を見て、自分にとっては普通だと感じていたものでも、見る人によっては洗練されたデザインとして、価値のあるものとして受けとられることに気づき、絞りの会社をドイツで立ち上げることを考えはじめました。
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村瀬さんの弟さんが実際に絞りの作業を披露。
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SUZUSANの商品がどのようにできあがっていくのか、実際に有松で職人さんたちの風景を撮った、絞りの工程を紹介しているビデオもぜひ見てみてください。
昔から工程ごとに完全分業制になっているのを、将来的には全部一つの会社で機能する仕組みを作りたい!、と村瀬さんは意気込んでました。
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絞りの方法には様々あって、それぞれにちゃんと名前がついているのが楽しかった!その絞りならどこどこの家、というように分担してプロフェッショナルがいるのも面白いけど、昔は100以上種類があったのが、今では半分以下になってしまったというのは残念すぎます
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「最終的に絞りに見えなくてもいいと思ってる」、と村瀬さんは語っていました。昔ながらの細かい技術にこだわらないで、今求められているものを、クライアントの意見を取り入れたり、他のブランドを研究したりと幅広く柔軟に対応してるところが、SUZUSANの強みだと感じました。もちろん絞りの工程は日本だけど、生地は日本製以外のも採用したり、日本に固執しすぎていないところが、他の伝統工芸品との違いかなと思います。海外を拠点にして日本よりもまず、ヨーロッパなどで販売を始めて、最初から世界に向けた視野を持つことによって、伝統工芸品ではない、’’モードなアイテム’’、として生まれ変わらせているところが、すごい!!
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スカーフ以外にも、ポリエステルの熱可塑性を利用して絞りの形を保っているランプシェードもすごく面白かった!!パリのデパート、ボン・マルシェにもおいていた商品。
日本全国でも、伝統技術を残そうと活動している若い人たちがたくさんいると思いますが、その中でもSUZUSANは一歩先を行っているブランドだと感じました。日本の伝統工芸もまだまだこれからっていう、単なる工芸品からの脱皮、そして世界のモードの一流ブランドと並ぶ価値のあるものとしての可能性を見せてくれました。だから、これからはもっとSUZUSANに追随して面白いブランドや企業がもっと生まれてくるんじゃないかって、期待しないではいられません!SUZUSANに出会えて、自分もがんばらないとって身の引き締まる思いでした。
※画像はすべて許可を得て掲載しています

2013年3月15日金曜日

技巧をこらした立体的なドレスが面白い!今年のインターナショナル・ウールマーク賞の、Christian Wijnants 2013AW

先月、モード界でとても名誉のある、2013年インターナショナル・ウールマーク賞を受賞した、クリスチャン・ワイナンツ。このウールマーク賞は、歴史が古く、権威があって、2013年は、世界16カ国から、70を越すブランドの候補の中からクリスチャン・ワイナンツが選ばれた。例えば、1954年にはイブ・サンローランとカール・ラガーフェルドがそれぞれ、ドレス部門、コート部門で受賞をしている。それに、10万オーストラリア・ドル(約1000万円!!)の賞金に加え、世界の有名ブティックにコレクションをおいてもらえる権利を得ることができる!
その賞を獲得した13年秋冬コレクションは、クリスチャン・ワイナンツの生まれ故郷のスイスにルーツを探っている。雪に覆われた木々や、穏やかな渓谷からインスピレーションを得ていて、山を登ったり、頂上へたどり着いたときのうきうきした気分などがカラーに表れている。
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やっぱりニットのコートやドレスが気になりました!コレクションの中で一番目を惹いたのがこの3色のドレス。縫い目が一切なく立体的で、上から下に向かってゲージが変化していて面白い。ニットのことはあまり詳しくないけど、すごいテクニックなんだろうって思います。
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このぐるぐるのカーディガンもふわふわの雪みたい。
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 ぼこぼこしたのもかわいいし、一度編んでからほぐして、もう一度編んだり、染め方も面白かったりで、楽しい!
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岩肌のごつごつしたところに雪が積もってきらきらして、しだいに溶けていってる感じがする。
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全体的にゆったりふんわりしてて、リラックス。バカンスで来た湖畔の側のロッジで、一日中自然を眺めて何もしない幸せな気分がしてくるコレクションでした!
ブリュッセルで生まれのクリスチャン・ワイナンツは、1996年にアントワープへ渡り、王立芸術アカデミーでファッションデザインを学ぶ。2000年の卒業コレクションは、フランスのイエールファッションコンテストでグランプリを獲得。2003年には自分自身のブランドを立ち上げています。今後のますますの活躍に期待して注目したいです。
 

2013年3月11日月曜日

繊細かつエレガントな立体的なペーパーアート  Chloé × Sabrina Transiskus

フランスのファッション雑誌MIXT(E)は、雑誌のみの通常版と同時に毎号アーティストを呼んで、コレクターエディションとしてのアート箱入りの豪華バージョンも販売しています。2013年春夏号では、紙を使った切り絵のアーティスト、Sabrina Transiskus を起用し、Chloéとのコラボレーションのアートワークを発表。それを記念したパーティがブランドのブティックがたくさん軒を連ねるパリのサントノーレ通りに12月末にできたばかりの新しいChloéのブティックで行われました。
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MIEX(E)の紙面上では、彼女のアートワークと、Chloéのクリエイティブディレクターである Clare Waight Kellerとの対談の記事も掲載。エレガンスな空気感が素敵すぎる、そのときの様子がこちら。
 
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ドイツ出身のSabrina Transiskus。今はパリを活動拠点にしています。Sabrinaはデザインとアートを学んだ後、パリのクチュールメゾンで3年間働き、そこで彼女は刺繍やプリーツなどの繊細な布地に魅了されます。その後は写真に興味を持ち、ファッションエディターとして転向。様々な雑誌で、ファッションショーやフォトシューティングに立ち会うことに。
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CULT(E) MAGAZINE
切り絵の影と差し込む光が綺麗!!紙の立体感だけじゃなくて、コントラストも表現してしまう。
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 TUSH MAGAZINE
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LANCOME : TRESOR
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WINDOW INSTALLATION
紙だけでこれだけの立体像系を作り上げてしまうのにびっくり!実物を見てみたい。
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これもすごくかわいい。クリスマスのアドベントカレンダーみたくなってて、フタを開けると香水が入ってる!!
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ELLE GERMANY
紙を使ったアートを創り始めたのは偶然だと語ってる。瞬く間に、エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネルなどのビッグメゾンや世界中の雑誌から引っ張りだこのアーティストに。
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Sabrinaの繊細なカットと紙の重なりの中に表れている、モードの世界に長年いた経験から培われたデザインセンスは、これからもますますモード界で活躍の場を広げることとなるに違いないと思います。どんな作品に出会えるか楽しみです!
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新しいChloéのブティックもすごく素敵でした!!
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La boutique Chloé Saint-Honore
253, rue Saint-Honore, Paris 1er,