2013年3月19日火曜日

世界中のバイヤーたちが注目する、日本の伝統技術の有松絞りのブランド SUZUSAN

日本の素晴らしい伝統工芸の技術が、後継者不足や海外の安い工賃のために流出してしまって、どんどんと失われていくことが問題になってしまってる今、ヨーロッパに活路を見出した面白いブランドに出会いました!

ドイツのデュッセルドルフで名古屋の伝統工芸品である有松絞りを使ったデザインで様々な新しい試みをしているSUZUSANドイツやスイスを中心としてヨーロッパ各地のショップに商品を卸していて、そしてパリではリュクスなメゾンのものをたくさんおいてある高級ブティックL'ECLAIREURもSUZUSANの有松絞りのスカーフを扱っています!スカーフ以外にも、生地もたくさん手がけていて、世界中の一流メゾンに提供しています。
SUZUSANのデザイナー村瀬さんは、1982年名古屋生まれ。20歳でドイツへ渡り、デュッセルドルフの美術アカデミーでファインアートと建築を学ぶ。在学中の2008年、ドイツ人のビジネスパートナーのクリスチャンさんと共に会社を立ち上げ、卒業後もデュッセルドルフと名古屋でSUZUSAN活動をしています。
一番初めに会ったのは、今年1月末のパリで売り込みをして来た帰りのカフェ。サンプルをいっぱい詰め込んだ大きなスーツケース片手に、「本物の行商だよ」って言っていたのが印象的でした。
そして、先日のファッションウィーク中に行われていた、パリの合同展示会TRANOIで展示しているところに訪ねていって、絞りのスカーフやブランケットを見に行ってきました。
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世界中のバイヤーたちが注目してる!!
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村瀬さんとクリスチャンさん

両親が有松絞りの仕事をしていた名古屋の実家では、布が家のそこらじゅうにあり、絞りに囲まれて育ち、絞りは当たり前にありすぎて、ドイツの美術学校ではもっとアートよりの作品をたくさん作っていたそうです。在学中、あるギャラリストの人に絞りを見せる機会があって、そのときに彼がとても驚いて感動していた様子を見て、自分にとっては普通だと感じていたものでも、見る人によっては洗練されたデザインとして、価値のあるものとして受けとられることに気づき、絞りの会社をドイツで立ち上げることを考えはじめました。
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村瀬さんの弟さんが実際に絞りの作業を披露。
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SUZUSANの商品がどのようにできあがっていくのか、実際に有松で職人さんたちの風景を撮った、絞りの工程を紹介しているビデオもぜひ見てみてください。
昔から工程ごとに完全分業制になっているのを、将来的には全部一つの会社で機能する仕組みを作りたい!、と村瀬さんは意気込んでました。
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絞りの方法には様々あって、それぞれにちゃんと名前がついているのが楽しかった!その絞りならどこどこの家、というように分担してプロフェッショナルがいるのも面白いけど、昔は100以上種類があったのが、今では半分以下になってしまったというのは残念すぎます
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「最終的に絞りに見えなくてもいいと思ってる」、と村瀬さんは語っていました。昔ながらの細かい技術にこだわらないで、今求められているものを、クライアントの意見を取り入れたり、他のブランドを研究したりと幅広く柔軟に対応してるところが、SUZUSANの強みだと感じました。もちろん絞りの工程は日本だけど、生地は日本製以外のも採用したり、日本に固執しすぎていないところが、他の伝統工芸品との違いかなと思います。海外を拠点にして日本よりもまず、ヨーロッパなどで販売を始めて、最初から世界に向けた視野を持つことによって、伝統工芸品ではない、’’モードなアイテム’’、として生まれ変わらせているところが、すごい!!
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スカーフ以外にも、ポリエステルの熱可塑性を利用して絞りの形を保っているランプシェードもすごく面白かった!!パリのデパート、ボン・マルシェにもおいていた商品。
日本全国でも、伝統技術を残そうと活動している若い人たちがたくさんいると思いますが、その中でもSUZUSANは一歩先を行っているブランドだと感じました。日本の伝統工芸もまだまだこれからっていう、単なる工芸品からの脱皮、そして世界のモードの一流ブランドと並ぶ価値のあるものとしての可能性を見せてくれました。だから、これからはもっとSUZUSANに追随して面白いブランドや企業がもっと生まれてくるんじゃないかって、期待しないではいられません!SUZUSANに出会えて、自分もがんばらないとって身の引き締まる思いでした。
※画像はすべて許可を得て掲載しています

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