暑さでじりじりする日照りの中で、トム・ブラウンの会場となった場所は、普段は入ることのできない軍仕官学校、Ecole Militaire 。そこから導かれたのは、カラッと真っ青な空と同じ色の荘厳な門の中の広場。
柱の間には、謎の鏡貼りの箱が二つ置かれていて、何が起こるんだろうって、期待でいっぱいの中で始まったショーは、まるで人形の軍隊の行進。軍士官学校に足を踏み入れたところからすでに、トム・ブラウンの軍のユニフォームのコレクションショーは始まってた。
こんなに暑いのに、真っ白く血の気がない肌に、真っ赤なリップ、それに鏡の板の上に立ち、横一列にずらっとならんで、全く動かず自分の決まった位置に収まっていた様子は、ずっと大切にコレクションしてきた人形たちを丁寧に並べて飾ってるみたいで、この耽美的なまでも異様な雰囲気は少し怖い感じも。
鏡の大きな箱は開けると、お城の入り口の脇にある警備する兵隊の小さな部屋で、ぴったりにはまっていて、パッケージングされてるみたいでした。彼ら二人は行進のショーの行く末を見守ってた。
ミリタリーコレクションとは言っても、土っぽい勇ましさはなく、どちらかというと若いエリート将校たち(よく映画や小説でも描かれるように、彼らは中性的な美しさも併せ持ってる)のイメージ。
それに、トム・ブラウン氏は、童話「みどりのゆび」のチト、なんじゃないかなって思いました。
植物を生みだせる親指を持ったチトが、武器に花を咲かせて戦場を植物でいっぱいにし、戦争をなくしていったように、このコレクションでは、威厳と機能性の軍のユニフォームの中に、それとは真逆の繊細でガーリーなディティールを咲かせてる。
植物を生みだせる親指を持ったチトが、武器に花を咲かせて戦場を植物でいっぱいにし、戦争をなくしていったように、このコレクションでは、威厳と機能性の軍のユニフォームの中に、それとは真逆の繊細でガーリーなディティールを咲かせてる。
もうすっかりドレスのように、裾がふんわり膨らんでるコートだったり。
満面の笑みで応える、トム・ブラウン氏!
最後は、まるでシンデレラのガラスの靴のように、ヒールのあるブーツを恭しく運んでました。
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