2013年8月9日金曜日

日本食が恋しくなる! 美食の国、フランスで北大路魯山人の大規模展 「魯山人の美-日本料理の天才-」

昨日の大雨で今は少し涼しくなったけど、少し前まで日本みたいにすごく暑くて、こう毎日暑いと、アイスクリームよりも、なぜかかき氷だったり、水ようかん、わらび餅、素麺、、、日本の夏の食べ物が思い出されてきてしまう、このごろ。蒸し暑い日本には、涼をとる夏の食べ物が充実してると思います。そこに輪をかけて、もっともっと日本食が恋しくなってしまうという展覧会がギメ東洋美術館で催されてます。
先月、「魯山人の美-日本料理の天才-」展に、展覧会の立案者の太田菜穂子さんと展示空間の設計者、南木隆助さんにご招待を受けて行ってきました。この展示は、ギメ美術館で今年5月から来年の1月まで企画されている、日本をテーマにした4つのシリーズ、(歌川広重、北大路魯山人、藍染の織物、日本の書)の展覧会のひとつ。そしてヨーロッパで初めての、北大路魯山人の大規模な展覧会です。
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美術館を入って、地下への階段を降りていくと会場に辿り着きます。この展覧会の題名のデザインも、なんだか、レストランっぽい感じ。
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日本家屋の柱と欄間をイメージした内装に並ぶ、魯山人のさまざまな器たち。いくつもの美術館や個人に所蔵されてるもので、これだけ一同に集まるのは日本の展覧会でもめったにないこと。印象に残ったのは、(写真がなくて残念なのですが)失敗してしまったのか、意図してやったのかは分からないけど、ひびが入ってしまったり、欠けたり割れたりしたものを、もう一度くっつけて直して、もっともっと面白いものに生まれ変わらせていた器。割れちゃったりしたら、捨ててしまいそうなところ、くっつけてしまうっていうのがいい!それから、絵付けされてた器のなかで、あれ、ちょっと足りないんじゃないかなってあえて残したように感じたのがありました。それは後から続く映像のインスタレーションの展示で納得がいきます。
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展示室の中間のところには、日月椀。太陽の金と月の銀の塗りのお椀。それらの間には、写真家上田義彦氏の福井の海を同じ構図で撮り続けた作品、「M.sea」が飾られて、時のうつろいを見立てる。
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そして、とっても楽しかったのが、これ。透けるような繊細な生地でつくられた部屋では、面白い体験ができます。
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手前では、銀座 久兵衛のカウンターではつやつやのお寿司がにぎられ、魯山人の器に盛られていき、最後はお客さんが食べてなくなっていくところまで、映像インスタレーションで体験することができます。映像だけで、もうとっても美味しそうで、お腹が空いてきてしまいます!!お客さんが手をのばして、お寿司がひとつずつ消えていくたび、ため息が。こんなにもシンプルで、ちょこんとかわいらしくも小粋な料理は、ほかにないですよね!
もう片方では、京都 菊乃井の懐石料理。大きさも形も、色も様々な器が料理ごとに次々と入れ替わり、美食家で料理家の魯山人が、自分の料理に合う器がなくて自分で作ってしまったように、料理が盛られることで完成する、引き立て役の謙虚な美しさ、を感じました。さっきの絵付けの器は、料理がたりなかったんだ。小さな器もよく使う日本料理では、組み合わせによって、食べた後まで楽しかったり、器によって盛りつける位置や量、も違ってると思うし、器のあるだけ、考えることがいっぱいでとっても面白い!!季節を感じ、招く人をもてなすために用意された、最高のしつらえ。これって、茶道にも相通ずる。
そういえば、と、ふと思ったのが、フランス料理って、真っ白いお皿が多くて、ソースで飾ったりはするけど、柄の入ったものやカラフルなお皿を使うのはあまりない気がします。美食の国フランスでも、すでに日本食は大人気だけど、パックに入ったお寿司ではなく、日本の"もてなし"、"しつらえ"に対しても、とっても興味深そうなフランスの人たち真剣なまなざし!!
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[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=8Jj8FL9VizE]
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=ebZj_vkIdnU]
この二つのインスタレーションが少しだけみれますので、ぜひ。
去年、裏千家茶道のお茶会の記事で別館を紹介したギメ美術館ですが、今回は、本館の地下が企画展の会場になってます。ちなみに、地上階から上は、ルーブル美術館には収まりきらなくなった、日本を含めアジア地域の美術の展示がされてます。仏像、石像がメイン。この界隈は、モード美術館近代美術館パレ・ド・トーキョー、とたくさん美術館があるからよく来てたけど、ギメは横目にしてただけでなかなか来ることがなくて、本館は数年ぶり。これからも、日本の展示が続くみたいなので、魯山人展にもう一回と、他の展示も一緒に行ってみようと思います!!
魯山人の展示は、9月9日までです。
photos :成田小夜子(シカク)

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