2014年7月26日土曜日

ヴェネチアビエンナーレ日本館出展作家に選ばれた塩田千春の個展「小さな部屋」

2015年のヴェネチア・ビエンナーレの日本館の出展作家に、ベルリン在住のアーティスト塩田千春さんが選ばれたことが発表されましたが、今パリのギャラリー、Daniel Templonダニエル・テンプロン で個展が開かれてます。この間のギャラリーめぐりに連れていってもらったときに寄ってきました。
このギャラリーは、1966年にサンジェルマンデプレにオープンしました。その後、72年にポンピドゥー・センターのすぐ目と鼻の先の、ギャラリーの集まるrue Beaubourgにお引っ越し。この前紹介したギャラリーもそうでしたが、ここも通りに面してはいなくてアパートの一画にあり、少し見つけにくいところにありました。最初はクリスチャン・ボルタンスキーなど、コンセプチュアル・アート、ミニマル・アートなどを展示し、70年代からはアメリカのアーティストを紹介するようになっていったようです。日本からは、写真家の杉本博司やアラーキーの作品を扱っていて、草間弥生の展覧会も開いている、大御所作品をたくさん収集してる、フランスでも有数のギャラリー。
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この個展のテーマは、『小さな部屋』。1917年から1919年に書かれたフランツ・カフカの日記の一節にインスパイアされ、精神的な空間への旅を表現。
一番目につくのが、天井から無数の赤い糸が垂れ下げられ、レトロな旅行鞄が吊られ、ぶつかり合いながら、ゆらゆらゆれている巨大なインスタレーション。持ち主に忘れさられたのか、ぶつかり合う鈍い音が、荷物を運ぶ役割から解放された鞄たちの所在無さげを強調してました。
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それとは対照的に展示されているのが、黒と赤の毛糸が絡み合う彫刻作品。膨大な量の毛糸が張りめぐされた直方体の枠の中には、着物や楽器、箱が、身動きできないように縛り付けられてました。黒い糸は、髪の毛に見えてきてぞっとするし、とても苦しくなる作品郡でした。
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この作品みたいに、枠に括られて、いろんなしがらみによって身動きできないでいる自分自身を見てる気がして、恐ろしくなりました。
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塩田千春さんは、1972年大阪に生まれ、1997年からベルリンに住み制作を続けています。ベルリン芸術大学、ハンブルグ美術大学で学び、レベッカ・ホーン、マリーナ・アブラモヴィッチに師事。アメリカ、イギリス、モスクワ、バルセロナの美術館で展示されるなど、世界中で注目され、日本では、去年2013年に高知県立美術館で個展『ありがとうの手紙』、そして今年8月から名古屋のケンジタキギャラリーで個展が予定されてます。また、2011年にはダンスの振付家サシャ・ワルツが監督、演出した、能の名作『松風』をオペラに仕立て、ブリュッセルで上演された舞台のデザインも担当し、今年ドイツのキールオペラハウスで上演されたオペラ『TRISTAN UND ISOLDE 』のステージデザインもしているなんて!とっても気になります。パリに来たときは絶対観に行きたいです。
冒頭にも書きましたが、来年のヴェネチアビエンナーレでは、『掌の鍵』という作品を準備している塩田さんは、その作品制作のために、鍵を募集しているそうです。詳しくは、サイトまで。
どんな作品になるのか、楽しみです!
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