2014年6月27日金曜日

クリスチャン・ラクロワがオペラ座のバレエ衣裳をデザイン。B・ミルピエとビュランのコラボも。

パリオペラ座バレエ団のクラシックバレエを初めて観に行ってきました。そしたら、最初の作品『Le Palais de cristal』の衣裳を、クリスチャン・ラクロワがデザインしていたことに、当日行って初めて気がつきました。見逃していたけど、いつも送られてくるオペラ座の季刊誌、EN SCÈNE! にもしっかりデザイン画も取り上げられてました。
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『Le Palais de cristal』という作品は、クラシックとモダンの橋渡しをしてたと言われる、20世紀初頭に影響力のあったジョージ・バランシンが1947年にパリオペラ座バレエ団のために振り付けた作品。
振付家のバランシンは、1921年にバレエ・リュスに加わり、バレエマスター、そして振付家としても活躍していた人。そして、パリオペラ座からもバレエマスターとして誘われますが、病気のために断念。その後、1933年に渡米し、アメリカン・バレエ学校を設立。そして卒業生たちでバレエ団を結成。解散、復活を繰り返した戦後46年には、シティー・センターと契約し、専属のニューヨーク・シティ・バレエ団として発足させた、アメリカでのバレエの普及と教育に携わった、バレエ界の偉人。ニューヨーク・シティ・バレエ団は、現在最も有名なバレエ団の一つとして、世界中で公演を行っています。
私にとってクラシックバレエは、食わず嫌いならぬ観ず嫌いなところもあって、これまで全然興味をそそられなかったのですが、クリスチャン・ラクロワが3年振り、6度目、オペラ座バレエ団に衣裳をデザインしたということを知ったら、現金にもそれだけで楽しみになってしまいました。
クリスチャン・ラクロワは、1951年フランス生まれ。78年にエルメス、81年にジャン・パトゥのデザイナーとなり、87年には「クリスチャン・ラクロワ」オートクチュールメゾンを設立。数々の賞を受賞し、天才的なデザインで人々を魅了していたラクロワですが、ブランドは22年間一度も利益を上げずに2009年にパリのクチュール・メゾンを閉めています。モードの業界では成功したとは言えなくても、オペラやバレエといった、日常とは切り離された夢の世界に、ゴージャスなラクロワのデザインにぴったりの居場所を見つけることができたんだなぁと思います。
パリオペラ座は衣裳デザインに対しても常に探究心を持って新しいことに挑戦していて、面白いものが生まれてくるので本当に見逃せません!このブログにも書きましたが、去年のリカルド・ティッシが衣裳をデザインしたシディ・ラルビ・シェルカウイの『ボレロ』はすんばらしかったし、一昨年には、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクを起用して、オペラ座でこんな奇抜な衣裳を!とびっくりしてしまったこともありました。
今回のラクロワデザインは突飛なことはしてなく、1947年のブランシン当時のオリジナルを尊重し、伝統的なダンス衣裳からインスピレーションを得たデザイン。ベルベットやふわふわのチュチュ、キルティングのプールポワンなど、時代ものの映画に登場しそうな衣裳たちに、スパンコールーやビーズいっぱいのラクロワの煌びやかな味付け。バレエの演目が4幕あるのに合わせて4色、エメラルドグリーン、ルビー、サファイア、シャンパンカラーのシリーズでデザインされてました。
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現在ラクロワは、ドイツを拠点としているフランス人のオペラ芸術監督Vincent Boussardヴァンサン・ブサールの衣裳を15年間担当しているのだそう。衣裳をラクロワが担当するのかはまだ分かりませんが、来年5月には、新国立劇場でヴァンサン演出の椿姫の公演が予定されてます。
私はまだ、ヴァンサンのオペラを観たことはありませんが、パリでもまたラクロワの衣裳を観れる日がくるのを楽しみに待ってます!
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=u6Bt9WLtWxE]
今回のじゃないのですが、ラクロワがオペラ座の衣裳を担当したときのインタビュー映像です。
実は今回は後半に上演された、ベンジャミン・ミルピエが振付けをしたバレエ『ダフニスとクロエ』で、ダニエル・ビュランが舞台美術を担当していて、二人のコラボレーションを目当てに行ってたのでした。
ベンジャミン・ミルピエはフランス人ながら、アメリカン・バレエ学校で学んだ後、ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属し、アメリカで活躍してました。だから、ベンジャミンがバランシンの影響を受けていないはずはなく、そのオマージュとしてベンジャミンの作品の前に『Le Palais de cristal』が上演されることになったのだと思います。
ベンジャミン・ミルピエは、映画『ブラックスワン』のバレエの振付をし、言わずと知れた、主役を演じたナタリー・ポートマンと結婚。今秋からパリオペラ座の芸術監督に就任することが決まり、家族でパリに移住してくるのだそうです。
そして、ダニエル・ビュランは、フランスの芸術家で、パレロワイヤル広場の白黒のシマシマのパブリックアートや、一昨年のグラン・パレのモニュメンタで、カラフルな巨大でとっても楽しいインスタレーションを発表してます。
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始まりの映像で衝撃を受けてから、写真にあるように、丸や四角いパネルが場面によって入れ替わりして、重なったり並んだりと、照明との組み合わせで七変化。舞台美術の方が面白くて、ダンスはそっちのけで見入ってしまってました。
オペラ座といっても今回は、別館のバスティーユ。この数年いろいろな劇場に行きましたが、ここはパリの中でも美しくない劇場の一つだと思います。パリ市立劇場のように、チケットの値段を抑えて誰でも気軽に観に来れるようなシンプルな箱、というところももちろんありますが、ここはあくまでオペラ座なのに美しくない内装だなんて、あまり好きにはなれなかったです。だからなるべくこの劇場は避けていたのですが、たまに来てみるのは雰囲気が変わって新鮮に感じれたのはちょっとした発見でした。
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