以前ブログでも紹介しましたが、3年間の改装後の最初に行われた「アライア展」で大好評だったガリエラ宮。次に始まったのは、「Papier glacé!」という、 1918年から現在までのファッション雑誌VOGUEで活躍した90人ものファッション・フォトグラファーたちを、ニューヨーク、パリ、ミラノ、ロンドンから集められた150を超す貴重なオリジナルプリントで顧みる展示です!
John Rawlings, Vogue américain, mars 1943
© 1943 Condé Nast
美術館の中に巨大な雑誌が立てられているかのように壁が作られ、真っ白な背景に展示されている写真はページを追って行くようでした。年代を辿っていくというものではなく、スタジオのセット、フィクション、ストリート、デザイン・表象、スチール写真、身体、ポートレートなどの主要なテーマごとに分けられていました。フォトグラファーたちが世代を超えてお互いどのように影響しあっていたのか、その関係性を感じられる構成になっていました。
Henry Clarke, Vogue américain, mai 1951 (non publiée).
© Henry Clarke / Galliera
VOGUE を出版している、Condé Nast社の始まりは、1909年Condé Montrose Nastが、1892年に初版された雑誌VOGUEを買い取ったことから。すぐにアメリカのファッション雑誌でメジャーな一つとしてのし上がった。100年以上もの歴史がある雑誌!イギリス版は1916年、フランス版は1920年、ちなみに日本版のVOGUE JAPANは1999年の7月発行。 数年前にこのブログでパリのヴィンテージ雑誌のお店を紹介しましたが、そのとき見た10−20年代の雑誌ではイラストレーションが主流でした。その後だんだんと写真が重要な位置を占めるようになっていきます。
Guy Bourdin, Vogue France, février 1955
© Estate of Guy Bourdin, reproduit avec l’autorisation de Art + Commerce
この100年もの間、ほとんどすべての著名なファッション・フォトグラファーが、VOGUEと共に歩みキャリアを積んでいきますが、ときにそれは雑誌の枠を超えて、ファッションの歴史にも多大な影響を与えていくことにも。
それに、すでに名の知れ渡った著名な写真家と、まだキャリアの浅い新しい才能が1冊の雑誌の中で共演していることになるファッション雑誌は、新人フォトグラファーたちの発掘という大きな役割も果たしている。ギイ・ブルダン(Guy Bourdin)は、1955年にVOGUEで初めて仕事をしてその後30年以上写真を撮り続けた。アーヴィング・ペン(Irving Penn)はなんと60年間!も、ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)は40年間もVOGUE のために写真を撮っていたというから、本当に驚きました!!彼らのまだ名の知られていない頃の作品を見ることができるのも貴重な体験でした。
Deborah Turbeville, Vogue américain, mai 1975
© 1975 Condé Nast
VOGUE に掲載されているようなハイファッションの服に手が出なくても、アーヴィング・ペン が「私はいつも、服ではなく夢を売っていると感じている」と語っているように、ファッションストーリーのページのスタイリストやフォトグラファーたちがディレクションした舞台でモデルたちが役を演じているような幻想的なヴィジュアルに誰もが魅了されてしまいます。上の写真のデボラ・タービル(Deborah Turville) やヘルムート・ニュートンは、それまでの伝統的なエレガントで美しい表現から逸脱し、ストーリーを感じさせる彼らの写真に、世界に衝撃を与えた。
Constantin Joffé, Vogue américain, septembre 1945
© 1945 Condé Nast
David Bailey, Vogue américain, avril 1962
© 1962 Condé Nast
1930年代までは海の設定でもセットを作ってスタジオで撮影をしてましたが、30年代後半から徐々にストリートに出てロケに行くようになったようです。50年代からは、ウィリアム・クライン(William Klein)のように、報道写真家がファッション界にどんどんやってきて、セットでかっちり撮っていたものから、より躍動感のあるドキュメンタリーっぽい写真が増えていきます。知っている場所で撮られることによって、ファッションが以前よりももっと若く、大衆的になっていったっていうといころが面白いです。
Inez & Vinoodh, Vogue France, octobre 2002
© Courtesy Inez & Vinoodh and Gagosian Gallery
また、バレンシアガのスーツや、ジャンヌ・ランバンのイブニングドレス、コム・デ・ギャルソンのドレスやなどなど15体のガリエラ宮の所蔵するクチュールドレスが、写真と呼応するように飾られているのも必見。脇にある部屋では、当時の雑誌の展示もありました。直接触れて見ることはできませんが、雑誌のページをぺらぺらめくっているような映像で展示されてるので、楽しいです。そして最後のセクションでは、大スクリーンに最近の映像作品が映し出されていて、それもすごく面白いです。10分くらいだったので全部観てしまいました。
この展示は世界中を巡回する予定で、ベルリンやミラノ、チューリッヒなどを回った後、東京にも続くようです!
Palais Galliera
Musee de la mode
10 av.Pierre 1er de Serbie
5月25日まで
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