毎週デッサン教室に通っているのですが、駅から歩くときに酸性雨で溶けた人の像が埋め込まれた古いレンガ作りの建物を横目で見てました。そのガラス窓からは怪しげな光と気味の悪い煙が立ち込めていて、この何かでそうな雰囲気のする面白そうなところは何だろうと気になって、去年の夏に初めて訪れました。今ではその魅力にすっかりはまり、パリで一番のお気に入りの特別な場所になってしまったのは、650もの骨の標本が集められて展示されている古生物・比較解剖学展示館。これまでにもパリでいろんな美術館や博物館、劇場などなど行ってきましたが、この博物館ほど衝撃を受けたところはありません!この博物館は、パリの植物園内にある、国立自然史博物館の一部なのですが、広い敷地にいあるもう一つの博物館の動物や魚の剥製が展示されている進化大展示館については、去年ブログでも紹介しましたので詳しくはこちら。http://www.vogue.co.jp/blog/taco/archives/148
1900年のパリ万国博覧会に向けて1898年に開館した歴史のある建物で、そこに足を一歩踏み入れた瞬間、100年前にタイムスリップしたみたいです!!進化大展示館では、剥製の動物たちがライオンキングみたいに大行進していましたが、ここでは皮をはいだだけの筋肉の人体模型が先頭になって、ホネホネになった動物たちを率いているように見えます。でもなんだか偉そうにしてて、おこがましいというか、とてもヨーロッパ的な気がしてしまいます。万博のために作ったところなので、当時と展示の様子が同じかどうかは分かりませんが、フランスの力を見せる場所だった、ということかもしれません。
そうはいっても、この趣のある博物館の内装におさめられたこれだけの数のホネたちの壮大な展示は圧巻。レンガの外壁に、内側は白い壁に鉄のアーチで輪郭線が描かれどこまでも続いていそうで目がくらむ。そのどこから来たのか分からないくらい深い底から、古めかしくよれた色の木のにのせられ少しくすんだ骨格標本の動物たちが次々に現れるその美しさに感動しました!
壁沿いには、ガラスケースの棚に内蔵や脳のホルマリン浸けや、小動物や魚たちなどの標本が展示されてました。それになんといっても、展示の仕方が素晴らしいのです。電子化されてる部分もなく、特別なことをしてる訳ではないのですが、素敵なカリグラフィーの名前プレートが日に焼けていい色になっていたり、飴色になったつるつるの木の棚のガラスの向こうに無造作に並べられた変色した瓶など、人が作為的に作りだすことができない、この博物館が過ごしてきた時代によって彩られた装飾に心奪われてしまいます。私は一日中いても飽きないと思います。
ちびっこたちが熱心に見てたのは、赤ちゃんから大人になるまでの成長していく過程が展示される棚。人間の進化の様子も比べられるようになってます。私は赤ちゃんの骨の標本を初めてみました。赤ちゃんの全身の標本は作り物か人形なんじゃないかと見まがうほどで、始めは分からなくて驚きました。
2階に上がってみると、54万年前に遡って、恐竜やマンモスなど、絶滅した哺乳類の化石が並んでいました。アールヌーボーの装飾がとっても素敵なバルコニー部分には、貝や魚の化石。手作りの解説のパネルがすごくいいです。いい具合に色褪せて、余計な部分を省き分かりやすくデザインされています。これを見るためにも一番上まで登る価値ありです。
この植物園はとても広くて、大きな公園になっています。その中にはもちろん温室の植物園もあるし、前述の二つの博物館と、実はなんと動物園まであります。博物館の大進化展示室で動物や魚の剥製を見た後、この古生物展示室で骨や内臓の標本で見えない部分の謎を解決し、動物園で実際に生きて動いている様子まで観察できてしまうという、自然界の不思議に興味がある大人も子どもにも至れり尽くせりな場所です。古い建物がいつまでも残せるヨーロッパはずるいなぁと思います。
Galeries d'Anatomie comparée et de Paléontologie
2 rue Buffon
75005 Paris
75005 Paris
10時〜17時 火曜日休館
0 件のコメント:
コメントを投稿