濱谷明夫 『W-Orbit』
この前パリで初めてお茶事に参加したのですが、学生以来8年ぶりですっかり忘れてしまってたので、先輩方と勉強をしに日本文化会館へ行ったのですが、そのときちょうど面白い展示が2階のギャラリーでやってました。『ファイバー・フューチャー』展という、テキスタイルアート、ファイバーアートを手がける30人の日本人アーティストたちの作品を集めた展示。テキスタイルアートと言っても、タペストリ、彫刻、インスタレーションといったものまで多岐にわたってます。素材もさまざなで、自然の絹、麻、綿、それから化学繊維、金属の繊維、などなど。それに、考えたら当たり前かもしれないですが、ひとりひとりオリジナルのコンセプトを持ち、“テキスタイルアート”としてひとくくりにしていいものか、と思ってしまうくらいでした。
この展示は、ニューヨークから始まり、ヘルシンキ、マドリード、ポルトガルのテキスタイルアートビエンナーレ、などを巡回しながら、パリに5月にやってきました。
テキスタイルアートが流行してきたのは最近のことで、歴史も浅く1960年頃から始まったと言われてます。 1962年に始まったローザンヌ・タピスリー・ビエンナーレでどんどんと盛り上がりを見せてきたようです。この展示は公募で選ばれた人たちなのですが、ローザンヌ・ビエンナーレの入賞者ですでに知られた先駆者の作家から、30代の新進の若手まで、今の日本を見ることができる展示になってました。
田中秀穂『Vaniching and Emerging』
硬くごつごつした岩のようにも見え、角度によって違う表情を見せる不思議な感覚でした。
中野恵美子『連なり カンボジアンレター』
和紙や絹、そしてカンボジアで偶然見つけた古いものなどいろんな素材が組み合わさっていて、生地に織られている作品。板締め縮みという特殊な技法を使っている。
熊澤明子『デイジーチェーン』
子供の頃遊んだ、花の首飾りをイメージした作品と後で知ったけど、私には、口を開けているように見えました。吸い込まれそうな、そこに入ってみたくなりました。
新井淳一
ファッションの世界でもいろんなブランドとコラボレーションしている、テキスタイルアートの重鎮の83歳にして現役作家の新井さん。2013年には東京オペラシティアートギャラリーで大規模な回顧展が行われて話題になってました。この作品は絞りの技法を使って、光沢の中に真ん中が透けたのれん。くぐってみたかった。
小野文則『feel the wind』
化学繊維を使った特殊加工でできたぼこぼこ。壁から生えてきたような、生きてる細胞みたいな面白い作品でした。
布地が大好物な私個人的には、ただ見るだけではなく触るのがすごく好きなので、その手触りを確かめたくなる衝動に駆られました!!でも、そこは想像を膨らませ、我慢しました。それに、繊維は冷たい色をしていたとしても、どこか温かみを感じられるのがいいなと思います。絵画や彫像とは違って、服ではないけどアート作品として、うずくまれたり、包まれたりするような、皮膚感覚に訴えるような作品もあっても面白いなと思いました。
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