2014年3月14日金曜日

ポンピドゥーセンターの脇にひっそりたたずむ、彫刻家ブランクーシのアトリエ

パリに来たことがある方たちなら、ポンピドゥー・センターはきっと行ったことがあると思いますが、入り口のある広場の脇に小部屋があるのはご存じですか?
屋根にはいつもハトがいっぱいで、少し近寄りがたく、私は何かの倉庫だと思ってました。
入り口も外から分かりにくく、ひっそりと佇んでいる隠れ家のような小屋は、彫刻家ブランクーシのアトリエを建築家レンゾ・ピアノが再現した、ギャラリースペースです。
ガラスの扉を入ってくと、真っ白い空間が広がっていて、天井からの差し込む光でギャラリーの中が思っていたよりもずっと明るいのに驚きます。
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コンスタンティン・ブランクーシは、1876年にルーマニアで生まれ、1904年にパリへやってきます。パリの美術学校、ボ・ザールで彫刻を専攻。その卒業作品の発表の場で、オーギュスト・ロダンに見出され、アシスタントにならないかと誘われます。当時、ロダンは世界的に有名なアーティストで、50人ものアシスタントが彼のために働いていたらしいです!しかし、たった一ヶ月で見切りをつけ、1916年には自分のアトリエをパリのモンパルナスの近くの15区に構えます。このアトリエでは、亡くなる1957年までずっと作品を生み出していました。1956年、亡くなる前年には、フランス政府にすべての作品、資料、道具を譲渡することを決め、パリの現代美術館が保管していました。
1977年にポンピドゥー・センターの脇にレンゾ・ピアノによって、当時のブランクーシの15区のアトリエを再現した展示室が建てられました。
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晩年のブランクーシは、新しく作品を作ることをしないで、アトリエ内にこれまでの作品を完璧に配置することに専念するようになりました。そのために、これ以上作品を売ることもしませんでした。差し込む光までも計算されたアトリエ全体が一つの作品として成り立っていたものを移動させて、新しいギャラリーとしての場所で一般に公開しなければいけなかったことに、レンゾ・ピアノは頭を悩ませたようです。内に隠されたプライベート空間というもともとのブランクーシのアトリエの特徴を壊さないようにするため、展示空間は観客から道を隔てたところに作られてます。ギャラリーの入り口からは、全く中の様子は分からなくて、ぐるっと壁を回らないと見つけられないようになっています。でも、見つけたときは、秘密の隠れ家を発見したときの高揚感があります!

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ここは、アトリエなので、ブランクーシの使っていた膨大な数の道具もすべてそのまま保存されているのが、すごく素敵な空間を作り上げてました。道具は手の延長上でなくてはいけなくて、手の動作に忠実についてこれるように、道具を手に合わせてオリジナルに修正していました。それに、彫刻のための道具ではないような、修理屋さんの古道具までも自分の思い通りになるよう適合させて使っていたようです。裏側にはこうやって道具置き場も再現されていて、見応えあります。
ベンチもあるので、そこに座ってぼーっと眺めるときもあれば、いろいろ考えごとしたり。
とても静かで、居心地よくて落ち着きます。

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ブランクーシのアトリエ
14:00-18:00 火曜日休み
入場は無料

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