トム・ブラウン、ファンタジーな世界をファッションショーでみせてくれるデザイナーでこの人の右に出る人はいないと思います。今回のトムワールドも秀逸。
小さな男の子が、寝る前に絵本を読んでもらってからぐっすり眠りにはいって見た、夢の中の世界のような、ちょっぴり寂しさが入り交じる冒険物語のようでした。
会場には色彩のほとんどない、グレーの生地で作られた、たくさんの動物たちがいる森が広がってました。そこには橋がかかって、魚がいたり、鳥たちも飛んでました。すべてがウールの布で覆われていたからなのか、素朴で温かい印象を受けました。
この登場人物(動物)たちは、大きく分けて2グループ。
前半は、グレイトーンの、ツイードやヘリンボーン、グレンチェックなどさまざまな生地を組み合わせた三揃えを着た紳士な動物たちがとてもゆっくりと、少し警戒しているように歩いてきました。帽子デザイナーStephen Jonesの大きな動物の頭をしたヘッドアクセをかぶってました。骨格だけのもありました。
どれも素敵だったのですが、上の三匹に加えて他にもお気に入りを少し紹介します。
鮭をくわえたクマ!!
大迫力のゾウ!登場してきたときは、会場でもざわめきがおこるほど。
これもすごかった。ゾウ骨組みバージョン。
鹿も。
何かはよくわからないけど、小動物。眼帯にしてるとこがいい。
ふわふわのしっぽをはやした、シルクハット。
そして、次に登場してきたのが、頭から靴の先まで葉っぱを纏った、ずんぐりむっくりなサングラスをかけた男たち。
よく見ると、背中の部分はリュックサックになってました。
顔にまで描かれた葉っぱのメイクも美し。
このグレーな世界の中に、私はどうしても、ミヒャエル・エンデ作の『モモ』に登場する、みんなの時間をどろぼうしていく、灰色の男たちをみてしまいます。ここでは時間ではなく、葉っぱや花や実でいっぱいだった春の森から、すべて奪ってまるまると太っていった。たくさんの色を奪ったから、自分たちもグレーに。色彩を失った森は、枯れ木ばかりの冬の世界になり、動物たちは別の場所を求めて歩き出し、男たちはその後を追って行く。
ラストシーンでは追いつかれてしまい、動物たちの前に男たちが立ちはだかります。
そうすると一瞬暗くなってから、前後が入れ替わり、動物たちが前に来るという演出。
動物たちが、森を取り返したところで、夢は覚めてしまいました。
その後の森はどうなったかは、また夢の中で。
Facebook作りました。パリの生活、いろいろ載せてます。
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