会社のレディースとメンズのブティックの間の通りを少し行った、
隠れるようにひっそりとたたずむ、コム デ ギャルソンのブティックがあります。
今は2012年春夏コレクションが揃っていますが、
あの真っ白のドレスたちのショーに魅せられた人たちは多いと思います。
私の中で、12年の春夏パリコレで衝撃的なコレクションでした!
そんな、真っ白のコレクションなかで、
ひときわ目立つ白黒のペインティングも、気になった方いるんじゃないですか!?
破壊的で、少しこわくて、ぎょっとしてしまうよな、すごくインパクトあるモデルたち。
私と大学の同級生でもある、大山さんは、
現在アーティストインレジデンスでニューヨークに住みながら活動している美術家。
川久保玲氏と何度も話し合いながらサンプルを繰り返して描かれたというこれらは、
彼の、「Quick Turn Structure(急旋回構造)」(QTS)というコンセプトの作品。
大山さんは、大学生の頃から観客の前でライブペインティングしたり、
キャンバスの作品や、
Photo by Shinpei Yamamori
お店の壁にも。Mad HECTIC Store
Photo by Takahiro Tsushima
2010年に開催された、私の地元のあいちトリエンナーレでの壁画は、
実際見て来ました。
こんな風に、キャンバスから、壁、ライブ、などなど、いろんなところに、
自然発生的に広がっていっていたものが、
今回はなんと、コム デ ギャルソン の服にまで派生してきてしまった!
Photo by Shinpei Yamamori
できあがってる服たちへの、ペイント作業の様子。
作業場の真っ白の壁に描かれてたのが、服に飛んできたり。

Photo by Kou Miyama
作業場全体が、インスタレーションのよう。
服が溶け込んで、一体化してる。
Photo by Shinpei Yamamori
彼の作品は、ぐるぐるして、目が回ってしまうようにそれだけでも動いて見えてしまう。
これまでは、壁やキャンバス、といった、
平面であって動かないものに描いていたのに対して、
服に直接描くというのは、丸みがでて、ゆがみが生まれたり、そして人が着れば動くし、
コム デ ギャルソンは、”服を壊す” ために、ペイントをしているけど、
服に描いたことで、QTSも変化した、というのが、
私は面白いなって思いました。
プリントされたものではないので、一点物で実際に描いている作品として観ると、
平面の作品から、またさらに踏み出したところに派生していって、
これからは、どんなところに行くんだろうって楽しみです!
Photo by Shinpei Yamamori
このアトリエの空間は、ほんとかっこいいです!
壁から、服がむくりと現れてきてるみたい!
パリのブティックには、
彼が描いたオリジナルの作品はやっぱりありませんでしたが、
プリントのワンピースやTシャツは、いくつかおいてありました。
パソコン上で描いたものではなく、サンプルに直接手描きしたものを利用してるので、
手描きのタッチを残したプリントになってました。
もっと、知りたい!という方はぜひ、これらのインタビューを読んでみてください。
彼のこれまでの活動が詳しく分かります。
レジデンスの期間が終わる4月にニューヨークから帰ってきたら、
たくさんのトークやインタビューも待ち構えてるはず。
大山さんの今後の活動に期待です!!
Photo by Kou Miyama
大山エンリコイサム
1983年、イタリア人の父、日本人の母のあいだに生まれる。
慶応義塾大学卒業後、東京芸術大学院修了。
主な展示は、松戸アートラインプロジェクト2010、あいちトリエンナーレ2010など。
「ユリイカ」2011年8月に論文を掲載するなど、執筆活動も行う。