日差しが眩しいくらいに夏らしくなってきたような気がしたのに、またすっかり涼しくなってしまったり。気温の差に体がおいつかないパリです。
フランスは日本に比べて祝日が少ないのですが、5月は珍しくたくさんあります。1日、8日、14日、25日と4日間も!!日本のゴールデンウィークを利用して両親がパリに来ていたので、私もこの祝日を利用して、北欧へ旅行しに行ってきました。2年前はフィンランドのヘルシンキに行ったので、今年は、デンマークのコペンハーゲンとスウェーデンのストックホルム。それぞれの都市でどうしても行きたい美術館と観たい展示があり、とっても短い期間だったのでそれだけを必ず行くっていうのをとりあえずの目的にしました。
The Calder Terrace © Museum of Modern Art
ルイジアナ美術館は、コペンハーゲンの中心地からは少し離れたところにあります。郊外行きの電車に30分くらいゆられて、最寄駅からも15分くらい歩きます。でも、駅を降りた人の大半は美術館を目指すので、場所が分からなくても彼らに付いていけばちゃんと着けました。
The Sculpture Park © Museum of Modern Art
週末だったのものあって、とっても賑わってました。特に小さい子のいる家族連れが多かったように思います。パリの美術館は、有名どろこは特に観光客とお年寄りが多いように思うのですが、コペンハーゲンは全体的に年齢層がもっと低く30、40代が比較的多いです。そして、小さい子を連れてるお父さんお母さんたちがすごくおしゃれ!!
The North Wing © Museum of Modern Art
The South Wing © Museum of Modern Art
海岸沿いの森の中にあって自然に溶け込み、とっても見晴らしもよくって、芝生でごろごろしたくなるような居心地のいい美術館です。
長屋みたいに横に広がっていて、スタイリッシュで清潔感がありモダンな美術館なので、最近できたのかなと思ったら、実はそんなに新しくありませんでした。最初のオープンは1958年。現在は7つの建物が海を望む中庭を囲むように連なっているのですが、始まりは古い別荘をガラスの廊下で繋げた3つ建物から成り立ってました。それが北館です。
ちなみに、アメリカのルイジアナ州みたいな名前だけど、どうしてルイジアナ?というと、この別荘のオーナーだった人が、結婚した3人の女性が全員ルイーズという名前だったというところからこの別荘をルイジアナと名付け、それをそのまま受け継いだのだそう。
66年にはコンサートホールができて、82年に一番背が高い南館、91年は日光にさらされないようように考えられた絵画専門の西館ができ、最後に98年には子ども館とショップというように、どんどん拡張していって、ぐるっと回れるようになっていった。また、2006年に3年かけてた改装工事が完了。この美術館を手がけた、ヨルゲン・ボーと、ヴィルヘルム・ヴォラートのデンマーク生まれの建築家デュオは、サンフランシスコ・ベイエリアの木造家屋と、日本の伝統的な家屋という両極端なところからインスピレーションを得ているというのが面白い。
The South Wing © Museum of Modern Art
ルイジアナ美術館は、創設者のクヌード W. ジャンセンの考える、サウナ原理という展示の構成方法で知られるようになりました。そのとき行われている展示を、hot(すでに有名な芸術家や巨匠の展覧会)とcold(まだあまり知られていない作家で、敷居の低い作品)といったように分けているのだそう。hotの作家で人を呼んで、新しい作家の作品に偶然の出会いを演出してます。
David Hockney drawing Woldgate,©David Hockney
Vandaliseret Totem, 22 November, 2012 ©David Hockney
今回の展覧会を見てみると、順路通りに進んでいくとまず目にするのが、35歳のアイルランド人写真家リチャード・モッセの写真作品がガラス張りの中地下にあるギャラリーで行われ(cold)、次に77歳の巨匠デビット・ホックニーの、彼の生まれ故郷の風景を描いた鉛筆デッサンの作品の展示が少し奥のギャラリーで見つけられました(hot)。
モッセの写真は、コンゴ共和国の紛争の軍事偵察フィルムを利用した、目を焼き付けるような極彩色で暴力的な恐怖と美しさとを同時に浴び、もやもやを感じて消化できない居心地悪さでした。ちょっと歩くとデビット・ホックニーのモノクロの鉛筆のタッチに出会ったところで安心感を得ました。どこかさみしくて、やさしくて、懐かしさを覚え、モッセの写真との両極端な色と感情の変化がありました。
Monologue, 2013 © Jeff Wall
またその先を進んでいくと、天井の高くて広びろとした開放感のあるギャラリーでは、若いアーティストたちに影響を与え続けている69歳のカナダ人写真家ジェフ・ウォールの大きな作品の展示が続きました(hot)。日常の風景を切り取ったというよりは映画の一場面のような、人物は演技をして映りこむものすべて細部にいたるまで創りこんだ作品で、今にも何か始まりそうでそこから動けなくなってしまうような、不思議な魅力がありました。
Grande Riviere, 2001-02 © Peter Doig
最後の自動ドアを抜けて離れにあるギャラリーの地下へ階段を降りていくと、どーんと、ルイジアナ美術館のコレクションのピーター・ドイグの作品に迎えられます(どちらかと言えばcoldかな)。あまりパリでも見かけたことなかったので、ドイグの絵画をこれだけたくさん出会えたのはすごくうれしかったです!美術館の空間にもとっても合ってました。彼は、写真や雑誌の切り抜きをもとにして自分の世界を描いているのだけど、とてもファンタジーで物語的です。かなり好きになりました。
こうやって、現代の作家たちではあるけど、企画展では年代も作品の種類も様々なアーティストを混ぜあわせていて、飽きのこない工夫がされてました。それに加えて、中庭にはところどろこ彫刻作品が展示されてるので、見逃さないようにしないといけないです。1日中いても足りないかも。
Louisiana Cafe © Museum of Modern Art
お昼は、美術館内のカフェで食べたのですが、たぶん訪れたほとんどの人たちがここで食べていたと思います。アレキサンダー・カルダーの作品と海が向こうに見える、中庭も目の前に広がっていて、ここでゆっくりしてしまう人たちも。
The Childrens's Wing Louisiana © Museum of Modern Art
あと、ちびっこスペースも充実してて、日の光が明るく差し込む子ども館は、地下から2階までの1棟全部。ワークショップもいっぱい企画されてるみたいで、だから小さい子どもたちが多かったんだなと思います。
コンサートや討論会、講演会などなど、いろんなイベントもりだくさんで、スカンジナビアで最大の現代アート美術館であり、デンマークの人たちにとって 大切な文化の発信地。こんなところあがあるなんてうらやましいなぁと思います。
私はまた数年後きっと来ると思います!!大好きな美術館の一つになりました!
コペンハーゲンは、北欧の街の中で一番好きだなと思いました。ヘルシンキほど観光地化されていなくて、ストックホルムよりも面白くて旬なものが集まってる。話す人誰もが心優しくて親切。もちろん裏路地の若者が集まるところはちょっと道が汚かったり、怖そうなところもあったけど、パリよりずーっと清潔感があり安全で、街がデザイン性豊かで若いパワーがみなぎってる。子どもたちにとっても住みやすそうだし、これからの街だなという感じがします。
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